詳しい説明は、こちらにあります。
健全なグループでは、近位から遠位へと筋発火のパターンがあるのに対し、腰痛のあるグループではランダムな筋発火が報告されています。
Neuromuscular strategies for lumbopelvic control during frontal and sagittal plane movement challenges differ between people with and without low back pain
さて、前回書いた「近位の筋機能を向上することによって、股関節のを含めて遠位の筋・関節を緩める」背景には、この文献が示唆するものがあります。
健全なグループでは、まず近位の筋が発火して四肢が自由に動く土台を作ります。具体的には、腰回りの筋発火により骨盤と胸郭が一体となって土台になります。これにより、遠位の筋が四肢を動かすことに専念できます。
一方で、近位の筋が正常に機能しないと、遠位の筋が先に発火してしまいます。これは、近位の筋が骨盤の安定を確立していないので、遠位の筋がそれを代償しようとしていると思われます。こうなると、遠位の筋は骨盤の安定と四肢を動かすという、2つの機能を同時に行なうことになり、自由に四肢を動かすことが難しくなってしまいます。そして当然のように常にそして過剰に筋緊張を起こしているので、可動域の制限の原因になる過緊張の状態になると思われます。
このような状態な場合、ストレッチよりも、まず近位の筋機能を最適にすることにより、筋緊張を緩めることができるわけです。
そしてこれは、以前紹介した「Proximal Stability for Distal Mobility」のコンセプトでもあります。
ストレッチをして向上した股関節の可動域が実際の動きの中で使われていない事が報告されています。つまり、ストレッチで可動域を向上したら、その可動域を動きの中で使うトレーニングをしないといけないということです。
私は、ストレッチの前に、近位の筋機能を向上することによって、股関節のを含めて遠位の筋・関節を緩めることを心がげています。これによりほとんどの場合、ストレッチなしで可動域の向上ができます。
この理由は、次の記事に書きます。