①存在のすべてを

価格 1,800円(Kindle版)

   2,090円(単行本)

 

『存在のすべてを』は、塩田武士による心に響くミステリー小説です。平成3年に発生した誘拐事件から30年が経ち、事件当時警察担当だった新聞記者の門田は、旧知の刑事の死をきっかけに被害男児の「今」を知ります。再取材を重ねる中で、ある写実画家の存在が浮かび上がります。

 

物語は、質感なき時代に「実」を見つめる者たちの姿を描きながら、事件の真相に迫っていきます。読者は緊迫感あふれる誘拐事件の中で、登場人物たちの心情や葛藤を共に体験します。

 

レビューには、素晴らしい写実画を観ると「まるで写真のよう」と感じ、金銭欲や名誉欲を否定する芸術観について考えさせられる、といった感想があります。また、プロットや人物像の練り込みがよくされており、現代社会への問いかけとして写実絵画のテーマが効果的に扱われています。

物語は30年にわたる真相追及の中で、春霞の情景や音楽の旋律とともに進みます。真実を求める姿勢や、愛についての探究が物語の核となっています。

 

『存在のすべてを』は、ミステリーと心理描写が見事に融合した作品であり、読者を引き込みながら深い思考を促します。