伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』
TVドラマ「氷点」を観ました。
原作はもっと苦悩や葛藤があって心のひだがあるのに、
単なる継子いじめの話になっちゃってる・・・
どうか原作を読んでください。
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安部和重の『シンセミア』 を読んだ後だけに、料理は愛情、
じゃないけれど小説にも愛情が必要だなと実感した作品。
主人公伊藤はコンビに強盗未遂で警察に捕まり、
護送途中で車がスリップして、その隙に逃げ出したが気を失ってしまった。
目が覚めたのは仙台の先の牡鹿半島をずっと南にきた、鎖国を150年間続けている荻島という一風変わった島だった。
アパートはあるしアスファルトも電気もあるので最初は信じられなかったが、反対のことしか言わない元画家、園山などの奇妙な島民と会い、未来を見通せて人語を操るカカシの優午を見て、疑問を感じながらも現実を受け入れていく伊藤。
それと一緒になって読者もこの奇妙な世界に入っていける。
「全部を知っていなくてはいけないのと、楽しく暮らすというのは、次元の違う話だろ?」手品の種を知らなくても、手品は楽しめるだろう、とも言った。
人は、川の流れる速度で生きるのがもっとも正しい。
などなど、村上春樹を思わせるアルフォリズムが文中にちりばめられていて、小気味好く惹きつけられる。極めつけは、
僕の読みかけの小説を、静香が勝手に読んで言ったことがある。
「この名探偵というのは何のためにいるか、知ってる?私たちのためよ。物語の外にいる私たちを救うためにいるのよ。馬鹿らしい」(中略)誰かのための存在なのかもしれない。
いやー、この物語を読み終わると心が温かくなり、この言葉を痛感します。
ミステリーとしての謎解きもパズルのように最後に全てがつながって快感です。
また読んだ後も、島の羅針盤だった優午が死んで、この後どうなっていくんだろう?
島を出て行く人がいるんじゃないだろうか?
鎖国も解かれてしまうんじゃないだろうか?
そうなったら桜は大忙しで詩を読んでる暇が無くなってしまうじゃないか。
とか、つまらない想像を膨らましてしまいます。
一度は読んでも損はしない作品だと思います。
安部和重『シンセミア』
- シンセミア〈1〉/阿部 和重
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このミステリーはフィクションの中に事実が巧妙に入り込み、それがボディーブローのように効いてきて、事実とフィクションの境界線が曖昧になっていく。
私の感覚ではホラーを読んでる感じ。
舞台は東北の小さな田舎町、神町。
表に出ることのない裏の戦後史と、ひと夏に起こった事件と天変地異により人々が狂気の世界に陥り再生する物語である。
まず登場人物がロリコンの警察官や盗撮が趣味の変態野郎ばかりで、作者自身も取材と称して女子高生に近づこうとする変態として登場し、現実の世の中も欲望の集合体だということを気づかされ、この物語の狂気の世界に足を一歩踏み入れてしまう。
また中学校の女教師が生徒の万引きをきっかけにビデオレンタル屋の店主の罠にはまり、ずるずると落ちていくくだりでは、こんなことあるわけが無いと思いながら、ひょんな事から泥沼にはまっていく感覚を実感できヒヤリとする。
そして書店主が裏の戦後史を語るところでは、集団心理の形成のされ方と、空気に支配され個人では絶対やらない残虐なことを易々とやってしまう怖さをまざまざと諭される。
これが最大の味噌かと思ったら、ある陰謀と洪水のせいで住民が集団心理にかかり、田宮家を破滅に追い込んでしまう。
歴史は繰り返すのだ。
私は読んでる最中あるひとつのことを思い出した。
きっこの日記の2006年9月21日の「安倍晋三が改憲を急ぐワケ」
で「中国と日本をどのようにして戦争に持っていくか」ということを安倍晋三などが話し合っており、きっこさんは会議に出席した人から直に会談の内容を聞いており事実だと言っているが、私には話が荒唐無稽すぎて信じられない。別に安倍をかばっている訳ではなく(私は安倍を不支持)、会議の内容が嘘だという証拠を得たわけでもないが。
ある人間には信じられないことが、ある人間には真実として力を持つ恐ろしさがある・・・・
三浦綾子『氷点』
- 氷点 (〔正〕 上)/三浦 綾子
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- 羽生善治は私にとって特別な人だ。
私は小学校以来将棋をしていないのに、羽生をテレビで見るとドキドキし、羽生の書いた文章を見ると身体がカッと熱くなる。
その羽生の愛読書が三浦綾子の『氷点』であることを最近知り、約6年ぶりに再読してみることにした。
その時は、人間なんて自己中で一皮向けば醜い生き物だと思っていて、三浦綾子の人間の内面を描く描写力に感嘆し作品に感動しながらも、斜に構えた人間観を強めたに過ぎなかった。
はたして今回、以前より深い読みができるのか?多少の勇気が要ったが読んでみることにした。
医師である辻口の妻、夏枝が男と密会している間に娘が殺されることから物語は始まる。
辻口は妻の浮気を許せなく、犯人の娘を妻に育てさせ人生を棒に振らせることを思いつき、キリスト教の教義「汝の敵を愛せよ」を隠れ蓑にして実行してしまう。
ここからの心の動きがいい。
登場人物と一緒になって葛藤できる。
復讐を果たすのか?それとも
「汝の敵を愛せよ」を実践できるのか?
今回も感動できた。
がしかし、「原罪」という一番のテーマは6年前と同じく理解できなかった。
私は大して上等な人間じゃないし、人に胸張って言えないこともしてきたが罪というほどの事もしていないと思ってしまう。
あーぜんぜん成長してない!
こんな私にはたして謙虚になって罪に目覚めるときがくるのだろうか?
・・・今知ったんだけど、これテレ朝でほうそうされる・・・
http://www.tv-asahi.co.jp/hyoten/
羽生はテレ朝のまわし者か?
