大相撲の場所前になると、番付が発表される…この番付表を、物の評価に当てはめる習慣が日本にはある。

 もちろん、一番上位は横綱…それにも東と西があり、東が上席だ。

 1906年に誕生して、発展を続けた世界の自動車の中で、WWⅡ後に横綱にあてはまるのは、当然ロールスロイスといって、文句はなかろう。 写真:ロールスロイス1906年。

写真:ロールスロイス1906年/RR社提供。

 近ごろ注目されている腕時計で、横綱が当然と思えるのは、パテクフィリップだと思う。

写真:パテクフィリプ・カラトラバ型/18金ホワイトゴールド/1970年頃のモデル。

 ロレックスが最高と思っている人が、日本ばかり世界にもたくさん居るが、ロレックスは、流行人気の最先端で、さらに上位とされているモデルが、いくつもある。

 両者には共通点がある…廉価版普及品がなく、高級品だけということだ。

 さて、最高機能と高品質を追求する職人ロイスと、英国貴族ロールスが出会って、ロールスロイスが誕生したのは、夏目漱石の名作{坊ちゃん}が発表された、1906年=明治39年だった。

写真:RRシルバーゴーストとモンタギュー卿&RRセダンカ/1931年。

 一方、帝政ロシアの圧政を嫌い、ポーランドを出た貴族が居た、その名をパテク伯爵と呼ぶ。

 16世紀に登場した懐中時計は、ゼンマイを鍵で巻く方式だが、面倒だし鍵を紛失するので、長年なんとかならないものかと誰もが思っていた。

 1844年、パテク伯爵はパリ万博で、上流階級長年の夢、鍵なしでゼンマイが巻ける竜頭型懐中時計を見つけた…幕末の蘭学者・高野長英が投獄された年だった。

 作者は、ブレゲと並び称される、フランスの天才時計職人のフィリップだった…伯爵はフィリップに出資して、1851年=嘉永4年に誕生したのが、パテクフリップだった。

 RRについては、今更説明の必要はなかろう…高級高品質が認められて、世界の王侯貴族金満家御用達…戦後のエリザベス女王時代からは、英王室御用達となる。

写真:二台のロールスロイス・プルマンリムジン/上・1912年型&下・1953年型。

 PFの方は、ゼンマイを巻く竜頭に続き、1846年には独立した分針。1848年にフリーゼンマイと、矢継ぎ早に近代的新機構を連発する。

 1851年、ロンドン万博で金賞を受賞すると、早速ビクトリア女王お買い上げ。

 当時、24時間、陽が沈まない国(世界中に植民地)と言われた、英王室御用達の威力はたいしたもので、オーストリア女王、独ウイルヘルム大王などと顧客が増えて、アッという間に、上流社会でのブランドを確立してしまった。

 PF社では、最初のオーナーが記録されているそうだが、それには、ワグナー、チャイコフスキー、トルストイ、スターリン、アインシュタイン、ディズニーなど、世界の著名人がずらりだそうだ。

 日本が景気が良かった頃、ヤオハンが香港に進出した…「香港財閥当主が友情の印としてくれた私の宝物」と、TVで語っていたヤオハン社長の宝物は、PFだった。

 Patek Philipeは、熟練職人のハンドメイドと言われているが、最終工程では、部品を朴ノ木で磨くそうだ…本間誠二が見てごらんと言うので覗いた顕微鏡には、かなりな高級時計でも部品にバリが残っているが、PFの部品は、ギアの角が滑らかに光っていた。

 一個作るのに、半年、一年、複雑時計は更に長いというから、高価なのも仕方なかろう。

 車と時計世界で、金目を惜しまずに良い物だけを造り続ける横綱、ロールスロイスとパテックフィリップは、21世紀中も、元気に生きていくことだろう。

 珍しいPFがあるので紹介しよう…PFには廉価版がないと言ったが写真は一個1万円前後?。中国とタイで買った偽物だ。PFノーチラス型と右端はロレックス・クロノグラフ。

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