おととい紹介した、関内の老舗、わかなの帰りにチェックした梅林…横浜では知られた名店のようで、鰻はもちろんのこと、河豚や日本料理でも評判なようだ。

 わかなの,ちょうど反対側にあるのだが、間に鉄道高架やら川、並木などがあるので、見通すことはできない。

 まあ、別の所と思った方がいいだろうが、JR関内駅からは同じような距離で、数分といったところだ。

 やはりビルだが、わかなの大店という感じに対して、親しみやすい和の料理屋という感じだ。

 エレベーターで二階へ…案内されたところは個室だが、テーブル席だから、立ち居がつらい老人にはありがたい。

 昼の、活鰻定食5400円を注文する。

 仲居が注文を聞いて数分が経つと、板前が挨拶に来た…ゴ丁寧に、と思ったら桶を抱えている「本日の鰻です」というから、見ると中串の鰻が一匹、うねうねとしていた。

 この風情は、子供のころには珍しいものではなかったが、さいきん出会ったことがないから、何十年ぶりかで、とても懐かしかった。

 しばらくするとこんどは仲居が来た。手にした盆の上に小さな杯が…中をのぞくと,赤い肉片がピクピクしている。さっき見た鰻の心臓だった。それに酒を注いで仲居が帰ったので、一気に飲み干す…これも久しぶりだ。

 しばらくすると、仲居がまたやってきた…今度は、小皿に盛った鰻の頭、兜焼きだった。

 鰻を一匹買って、順番に出てくる、何かトクしたような気分で、嬉しい気分になってきた…が、骨せんべいが出てこないのが残念だが、欲張りすぎてはいけない。

 初めに仲居が注文を聞いてから、50分ほどがたったころ、鰻重がやってきた。

 たぶん輪島塗であろう,きれいな重箱の蓋を取ると、立派な鰻が見えて、ほっとする…独特な香りも立ちがり、この一瞬は、いつもいいものだ。

 香ばしく焼かれた、三河一色産うなぎは、身も厚くフックラと蒸され、上々の味だった。

 タレの掛け具合、めしの固さ、どれも上々、肝吸いもさすが料理屋という味で、横浜野菜だという新香も気配りの良い浅漬けだった。

 気分良く昼飯を終えて、帳場に降りると、珍しくマッチが置いてあった。嫌煙時代になって、近頃珍しいので、断って二個ほどもらってきた

 外に出て、振り返ると,張り紙が目に付いた…また来なくてはならなくなった。

 {岡山県児島湾産・天然うなぎ入荷・価格時価}…帳場に戻り「表の張紙に児島湾産とあるが青鰻?」「そうです」・「値段は」「1万5000円から2万円」

 こいつは素晴らしいが、懐と相談?頭が痛いぞ、と思った。