写真の自動車雑誌広告は、黒いタイヤが、10分で白タイヤに変身という広告だ…同和自動車興業は、当時デトロイト商会と共に、自動車用品業界の、大手だった。

 昭和32年=1957年に、プリンス自動車から、スカイラインが誕生した、1500が120万円だった。

 昭和32年という年は、物価高騰で高額紙幣をという希望で、5000円札が誕生した…絵柄は聖徳太子…ついでに、紙幣だった百円が,硬貨になった年だった。

 スカイラインには、グロリアと呼ぶ、1900ccの高級バージョンがあり、それは147万円もする高級車だった。

 広告のモデルで、CASTOM WHITE RINGの輪で前後二分された側面のモール後半が、白ならスカイライン、黒ならグロリということで、識別できる。

 近頃タイヤは、大衆車も高級車も、タイヤは黒だが、当時憧れの的だったアメ車の影響で、白が高級イメージ…ホワイト・サイドウオールと呼んで、憧れたものだった。

 よく言えば日本人の高級好み。ぶっちゃければ見栄っ張り。それを、満足させる小道具がホワイトリングだった。

 スカイライン誕生の1957年頃は、敗戦後しゃにむに働いた復興も息切れ状態で、鍋底景気と呼ばれる不況時代だったのに、なぜか流行語はデラックスだった。

写真:プリンスはヤナセでも販売/久保菜穗子・新東宝一期・池内淳子&三ツ矢歌子と並び三羽烏と呼ばれた・同期に左幸子、高島忠夫、天知茂。

 

 そして、グロリアが登場した1959年の流行語は{消費は美徳}だった。

 いずれにして、乗用車が買えるなど一握りの裕福層だけだが、中には,ようやく買った人たちがいて、高級車らしい白タイヤに憧れた…当然、タイヤも、黒より白が高価だったから。

 で、登場したのが、カスタム・ホワイトリング…西洋風神様頭上のリングを買い、ホイルにはめ込めば、白タイヤ、一丁上がりということだったのだ。

 広告では、10分間のメーキャップ・10分間で普通タイヤがデラックス白タイヤになる、とある…10から20インチタイヤに適合とあるが、20インチは二輪用だろう。

 10分で高級車に変身は嬉しいことだった、が、欠点が一つあった…歩道の縁石をこすると、外れたり、切れたりすることだった。

 アッという間に高級車に変身は素晴らしいことで、一時人気者になったが、今にして思えば、見栄っ張りを満足させる,姑息な手段だったのだと思う。