世界各国、各地に郷土料理がある…フランス、イタリアン、中国、韓国、等々…もちろん繊細な味つけ、芸術的盛り付けの日本料理は、いまや世界の人気ブランドになった。

 太平洋地域にも、インド、タイ、インドネシア、ベトナム、ハワイなどの伝統料理があるが、大国でありながら、米国を代表する料理は、となるとハテナ?だ。

 進駐軍のキャンプで食べた、ピザやスパゲッティを米国料理と思っていたが、やがてイタリアンと判る…もっとも、ナポリタンはナポリにはないし、ハンバーグステーキもハンブルグにはないし、が米国料理でもない。

写真:現代々木公園のところには米軍キャンプ・ワシントンハイツがあった。

 

 ならば、ステーキと思ったら…敗戦後貧しい食生活の時、米軍キャンプで食べて感激したが「ビーフステーキはアルゼンチンの方が本場じゃないのかな」と、米兵に聞かされた。

 長年、米国の料理って何だろうと思っていたら、最近、麻布十番にソールフードハウスというのが、米国料理と言っていることが判った。

 当然ながら、さっそく行ってみた。

写真:すみませんビルが横に寝てしまいました・PC音痴の老人には直せません・こんなこと初めてです。

 

 ソールフードは、キミちゃん像がある公園を、一本松の方に少し上がった所にある、小さなビルの6階だった…エレベーターを降りると、そこは日本の雰囲気ではなかった。

 映画で見た、米国の田舎食堂という感じで、どうやら太った黒人のおばさんが主人のようで、あと二人ほどの従業員も黒人で、全員が上から下まで、真っ黒なウエアだから、念が入っている。

 客も外国人ばかりで、英語が飛び交っているので、英語音痴としては困ったことになったと思っていると「ナンにしますか」と黒人のカタコトで、ホッとした。

 メニューは、英語で写真がない…見ると、下に漢字カタカナで料理名が書いてあるのだが、英語の直訳だから、読めても、料理の姿が浮かんでこない。

 ネットでは、ここの人気はチキンワッフルというのを思いだし、メニューを見ると、チキンワッフル、ホット、バッファロー、究極と四種類ある…さて困ったな、と黒人に聞いてみた。

 「チキンは普通、ホットは辛い、バファローはもっと辛い、究極は・でゴチャゴチャ言っていたが意味不明」…それぞれ、値段は1500円・1600円・1600円・1800円。

 ここで昭和一桁生まれ老人の悪い癖が出た…見栄を張るわけではないのだが、一番高いのが良かろうと、究極チキン&ワッフル1800円を注文した。

 最初に、サラダとドレッシングが出てきた…が、よく見るとサラダにはドレッシング掛かっている…で、井の頭五郎よろしく遠くの白人客を見るたら、スプーンで飲んでいるから、この小さなドンブリのはスープだと判った。

 黒いツブツブが見えるスープを、呑んで見る…旨くもないが不味くもない。昔ハワイで飲んだタロイモのスープを思いだしたが、材料は不明である。

 サラダは普通に旨い、そして量もまあまあだ。

 やがて出てきた、メインディッシュは、ファッフルの上に、鶏の唐揚げが2本、ベーコン、目玉焼きなどが載っていた。

 ネットでは、アメリカ南部料理だったから、南部ではワッフルが主食なんだろうか、と思った。

 唐揚げを食べてみる。普通の唐揚げだった。で、唐揚げ、ベーコンと順次、机の上にあった、ばかでかいビンのハインツ・トマトケチャップを掛けながら、卵も、と食べつくした。

 食べた後で、究極とは何だったんだろうと考えてみた…唐揚げが二個だったのだろう、ということだった。

 結論は、食が細くなった老人には、究極ではなく、たぶん鶏が1個だろう、標準の1500円でよかったのだろうと、反省した。

 いずれにしても、期待をふくらませて食べる料理ではないが、生まれて初めての米国南部料理ということで、好奇心的には十分に満足の昼飯だった。