琥珀宮、麗穂、春秋、倶楽湾、潮夢来、紫玉欄…これらは系列店名というから、ややこしいが、その中心が中国飯店で、集大成が富麗華のようだ。

 そのルーツだと思われる中国飯店は、元は材木町と呼んだ、六本木と西麻布の中間で、1973年創業。

 一方、富麗華は、政界財界御用達のようで…というのも、個室が多く、表・裏・地下と三カ所も出入り口があり、お忍び芸能人なども含めて便利なのだろう。

 夜になると黒塗りの車が並び、小泉首相も見たことがある…開店したての頃に支配人に聞いた「何処の料理?」・「基本上海ですが各地の料理を足して割ったような・・」とはダレにも嫌われない味つけなのだろう。

 上海、北京、香港、広東などから一流料理人を、と言うせいか、私の至らぬ味覚だが、系列店なのに、各店すこしずつ、味が違うな、と感じられるのも面白い。

 さて、中国飯店は、慶應義塾の桜田通りにも、三田店がある。今回は、そこの冷やし中華だ…西麻布店の五目冷麺、海鮮冷麺は2800円と高いが、三田店の昼なら、1300円ほどで食べられる。

 標準的冷麺だが、キュウリの皮と種を除去し、金糸卵がなく、細麺が特徴。叉焼たっぷり、すっきりとした甘酢タレがタップリも嬉しい。

 さて、冷麺は夏のものだが、三田店でよく食べるのは、排骨麺とフカひれスープ麺だ。

 三田店入り口に、大きなフカヒレが、ドンと置いてあるのを見ても、中国飯店が高級店とわかるが、三田店のランチは比較的安いので気軽に利用できる。

 中華料理定番の酢豚は、野菜・ピーマン・パイナップルなどがオ定まりだったが、最近、豚だけで色黒の、黒酢の酢豚が流行っている。

 この黒酢の酢豚、どうやら、西麻布の中国飯店が、発祥らしい。