原始、猿は空を飛ぶ鳥を見て「おいらも飛びたいな~」と思ったに違いない。

 猿が立ちあがり、人になると、飛ぼうと考えはじめたが、その前に、早く・楽にと、馬に乗り、車を作り、船も作った。

 そんな時代が長く続いたが、さらに進化するには、馬以上の動力が必要だった。

 が、動力がないのに、人が空を飛んだ…火を燃やすと、熱い空気が上昇する。それを風船に閉じ込めて、空に舞い上がった奴がいた。

 熱気球が空に上がった。人が空に上がった世界初は、フランス人のモンゴルフィエ、1783年だった。

 

 1769年に英国人J.ワットが、実用的蒸気機関を開発、人は馬以外の力を手にした。

 蒸気機関最大の功績は、英国の産業革命だった…石炭の需要、重工業の発展、車が走り、汽車が走り、船が走り、飛行船も飛んだ。

 で、19世紀は、蒸気機関全盛の世紀となった。

 さて、19世紀末になると、いよいよガソリン内燃機関が登場する=その世界初は1883年のダイムラーで、1885年に世界初のオートバイを完成する。

写真:ダイムラーの世界初のガソリン内燃機関。

 一方、数ヶ月遅れて内燃機関を完成したベンツは、1886年に三輪車を完成=これが世界初の量型産自動車だった。

写真:世界初の三輪自動車に搭載のベンツの内燃機関。

 また、世界初の四輪自動車はダイムラー…1886年にマイバッハの操縦で、時速18粁で走った/460cc・1馬力。

 同年、ダイムラーは小型ボート+エンジンで、ネッカー河を走行…これが世界初のモーターボートだった。

 ダイムラーの欲望はこれで終わらなかった…1887年、気球にエンジンを付けて飛行に成功…世界初の飛行船登場と言って良かろう。

 こうして内燃機関による、陸海空制覇という、ダイムラーの夢が完結し、おなじみ星の紋章=スリーポインテッドスターが誕生する。

 空を飛ぶ、という猿の夢は熱気球→水素気球→内燃機でと発展するが、最終的目標は鳥のように羽で飛ぶことだった。

 飛行機での世界初は、1903年のライト兄弟だが、飛行機械の研究はかなり古くからあった。

写真:エンジンの脇に寝そべって操縦するライト機/左のプロペラをチェーンで反転し二つのプロペラのトルクを相殺して直進性を確保している。

 もしエンジンがあれば、ダビンチが世界初かもしれないし、陸軍の資金援助があったらライトより早く二宮忠八が世界初だったろう。

 グライダーを完成していたリリエンタールが発注したエンジンを、フランスの業者が二輪車で道草を食わずに、即納していれば、世界初飛行はリリエンタールだったろう。

 ガセネタだとライトの飛行を認めなかったフランスで、世界初と喜んだ飛行は、1906年のサントスデュモンだが、正しくは欧州初である。

写真:パリの公園でサントスデュモン飛行に成功。

 ドイツで生まれた自動車がフランスで発展したように、米国生まれの飛行機もフランスで発展した。

 そんな中の一機、ブレリオが36分でドーバー海峡を渡り、デイリーメイル紙の賞金1000ポンドを手にした…世界初大陸間飛行=渡洋飛行の成功だった。

 世界初、数えるとキリがなくなるので、この辺で。