私は、そんなソバがあるなんて知らなかった…90年も生きて、ソバが好きで、ガキの頃から喰っているのに。

 今日の蕎は、山口県の郷土料理で下関発祥、どうやら{たかせ}という店が、元祖らしい。

 いまでは、普及したようで、山口県のB級グルメになっているそうだ。

 それが東京で食べられると知り、早速食べに行ってきた。

 瓦そばTokyo神田Y-styleという変わった名の蕎屋で、住所は日本馬本石町だが、JR&銀座線神田駅、浅草線東日本橋駅などから、歩いて数分という、便利な場所にある。

 茅場町に本店があるらしいが、それを知ったのは、神田の店に行ってからだった。

 神田は半地下なので、陰気な予感がしたが、入ってみれば明るい店だった。

 人件費削減なのか、入り口の券売機で券を買う。昼は瓦ソバだけのようで、あとはトッピングなどで、注文完了だ。

 食べてから知ったのだが、私が食べたのは、東京を考慮した醬油ベースの辛めのツケ汁に細麺だった。

 もう一つは、本場山口県流で、萩の甘口醬油ベースの、甘めつけ汁に太麺というのがあり、どちらも食べられるようだ。

 どうせなら、初めてなのだから、山口流を食べるべきだが、後で気が付いたのでは、それこそアトの祭りである。

 それほど待たずに、出てきた瓦ソバは、その名の通り、焼いた瓦の上にコンモリと盛られ、上に卵や海苔、肉などがトッピングされていた。

「熱いですから気をつけて」と 注意されたので、おそるおそる端の方に箸を付けると、蕎が動いてジューッと音がする…瓦は相当焼けているようだ。

 温かいツケ汁は珍しいが、それで食べる茶蕎麦は、とりあえず旨かった。

 トッピングは、汁に混ぜながら食べる。乱暴に蕎をたぐると、崩れるからゴ要心…瓦に面した部分が焦げて、其処も旨い。

 釜飯屋、中華の焼きソバで、わざと焦がしたのがあって、その部分が旨いが、あれである…パリッとした歯ごたえを噛みしめると、香ばしさが広がってくる。

 あとは、卓上の柚子胡椒などで味変を楽しみながらという手もある…私の時は、昼限定50食という、小ゴ飯つきだった。

 山口方面の郷土ゴ飯なのだろうか、ワカメをまぶしたご飯だったたが、これまた旨しだった。

 下関で生まれた山口県の郷土料理、瓦そばというB級グルメ、東京では珍しい、食べてたことがない人は、食べてみるのも一興である。