ダイムラーベンツの、最上級車と言えば、2002年誕生のマイバッハだが、メルセデスベンツを名乗る車では、Sクラスがフラグシップということになろう。
Sクラスは、Fセグメントの中で、世界の富裕層御用達として、人気街道をまっしぐら、という高級車だ。
Sクラスを最初に名乗るのは、1972年登場のW116で、1980年迄活躍して、累計販売台数が47.3万台に達した。
写真:W116/ナンバー{○外}は大使公用車。
高品質はもちろんのこと、当時の斬新技術が詰め込まれて、操安性、安全性を誇っていた。
ABS世界初搭載・ホイールスピン防止TCL・厚いパッドのダッシュボードとハンドルのエアバッグで、運転席と助手席の安全保護…が、日本では、火薬取締法で使えなかった。
最上級のV8型6.9ℓエンジンの、450SELを試乗したが、ハイドロニューマチック・サスペンション装備で、乗り心地の良さ、操安性の良さに感心したものだった。
W116誕生の頃、日本経済はバブルに向かって上昇中らしく、高価なSクラスの人気も急上昇していった。
最新装備と安全性が認識されて、最良の走る道具として認められ、ステイタス性を確立したのである。
Sクラスは、二代目、三代目と進化を続けるが、三代目はボディーが巨大になりすぎてビックリ…21世紀には、平均身長が2米になるから、というのが理由だった。
Sクラスは、さらに四代目、五代目と進化し、現在七代目だが、2013年登場の六代目の、S550-Long四座席型が印象的だったので紹介しよう。
写真:W222/三浦半島三崎漁港。
価格1535万円。四座席仕様をファーストクラス・パッケージと呼ぶ。ステレオカメラで前方路面を監視・凹凸に合わせてサスを制御するのが、マジック・ボディーコントロールだ。ヘドライトがLEDになった。
フォードアなのに、クーペのような姿は、ノッチバックス姿より、プレーンバック=クーペ姿を好む、米国市場重視なのだろう…米国は、大切な輸出先だからだ。
写真のS550ロングの広い後席空間は二座席仕上げ…各席に映像モニタ、肘掛けに折り畳みデスク内蔵。ワインクーラーBOX装備。運転席+後席頭上にもサンルーフ。
写真:後席用モニターと折り畳みデスクは両席に。
4663ccエンジンは、ツインターボで455馬力。走行中は常に2000回転以下でユウユウと走り続ける。踏み込むと、2180kgの巨体が4.8秒で100粁に。
全長5250x全幅1900㎜は大きいのに、取り回しが楽なのに感心するが、この車のオーナーは、自身で運転することはないだろう。
運転は運転手に任せて、後席で仕事しながら、時にはノンビリと、そんな暮らしがしてみたいものである。