ディーゼルといえば、昔はいすゞだった。もっとも、今でもトラック業界なら、通用する定評だが。
いすゞが乗用車から撤退してから、ディーゼル乗用車といえば、マツダということになろう。
石原慎太郎が東京都知事だった頃、黒い粉の入ったビンを振りまわしてから、ディーゼルは世の中の悪ものになってしまった…それで軽油の質が向上というメリットもあったが。
が、省エネが叫ばれる今にち、その先端を走る一つがディーゼルで、日本ではマツダが業界を率先して、普及に努力を続けている。
現在、欧州はEV化に夢中だが、それまで乗用車のディーゼルを発展させてきたのは、欧州だった。
欧州がEV化に舵を切った今、進化に努力を続けるマツダのディーゼルは、貴重な存在と言えるのでは。
そんなマツダの、乗用車ディーゼルの初作品は、1985年に登場した、六代目ファミリアだった。
写真:六代目ファミリア/佐原。
2014年、日本カーofザイヤーに輝いた、デミオの時代になると、ディーゼルモデルは上級グレード扱いだが、ファミリの時代は低グレードだった。
そのディーゼルモデルの六代目ファミリア、そして四代目デミオ、両車共に、試乗で到着したのが千葉の佐倉だったというのは、偶然とはいえ面白いものだ。
写真:初代デミオ/佐倉。
ファミリア17Dは、直四OHC・1720cc・59馬力…30年後のデミオは、直四DOHC・1498ccだが、ターボ加給で105馬力だから、素晴らしい進歩だと思う。
写真:上・ファミリア/下・デミオ。
燃焼効率が高いことで知られるディーゼル…それを搭載したデミオは、JC08=26.4km/ℓで、佐原往復実走燃費が24.6km/ℓだった。
私の試乗では、ハイブリッドも含めて、これまでの最高記録だった…ハイブリッド不要論も出そうだが、軽油がガソリンより安いことも考えると、往復ビンタで儲かるとニヤニヤしたくなりそうだ。
30年前、ファミリアの佐原往復実走燃費が10.8km/ℓで「ディーゼルは良いネ」と喜んでいたのだから、時代の進歩は恐ろしい。
「ディーゼルだから仕方ないよ」と昔は目をつぶった…独特な振動騒音も、デミオの時代になると、知らずに乗れば、ガソリン車と区別がつかないほどなのだから、嬉しくなる。
ファミリアもデミオも、マツダの救世主のような存在だった…CM:高倉健の幸福の黄色いハンカチで知られる五代目ファミリまではFRだったが、六代目でFFになった。
そのころマツダの経営は、低空飛行を続けていたが、この六代目のヒットで危機を脱した。
一方、1996年登場、RJCカーofザイヤーに輝いた、初代デミオもヒット…マツダは、またもや不況からの脱出劇を演じたのである…両車マツダにとっては、縁起の良いブランドなのだ。
いずれにしても、マツダのディーゼルは進化を続けながら、採用モデルを拡げて、活躍を続けているが「ディーゼルだから我慢しよう」などという人は、もう何処にも居なくなった。