江戸時代は松平肥前守の屋敷、明治になると陸軍練兵場、明治36年=1903年に、日比谷公園になった。

 その時、公園に開店したのが、洋食屋・松本楼だった。

 知る人ぞ知る松本楼は、大木が茂る中にポツンと一軒…意外に知らない人も多い。また立派な建物に気後れして、入りそびれてしまう人もいるようだ。

 気にせずに入れば、店内は広く明るく、しかも値段が安いのだから嬉しくなる…昼どきは広い店内がサラリーマンらしき男女で一杯になる。。

 私が好きな、オムハヤシは、最近の諸物価高騰で1700円になったらしい。ここの名物ハイカラ・ビーフカレーも1350円になったようだ。それでも世間相場として高いとは思えない…ココは天下の日比谷だから。

写真:サラダとオムハヤシ1700円。

 都心の一等地にある立派な店、訓練いきとどいた従業員、上質で美味しい料理を考えあわせれば、高いどころかむしろ安いとさえ感じるだろう。

写真:ハイカラ・ビーフカレー1350円

 

 松本楼のチャリティー10円カレーは有名行事…昭和46年沖縄デーの混乱中に放火で全焼、昭和48年新装オープンの時に、10円チャリティーカレーを開催した。

 以後毎年9月25日に、1500名限定で、寄付をした客に提供…その売上げ+松本楼の寄付を足し{世界の子供達の活動のために}と慈善団体に寄付をするもので、以後、日比谷公園の秋の風物詩となっている。

 

 長い歴史があるだけに顧客には著名人がたくさん…夏目漱石なのどもその一人、疲れをいやす憩いの場だったらしい。

 胡錦濤中国国家主席来日時、福田康夫総理が歓迎夕食会を開いたのも松本楼だった。

 日中友好に、松本楼は適役だった…というのも、中国革命の父・孫文が革命に失敗、日本に亡命した時に、終始面倒をみた梅屋庄吉の曾孫が松本楼の主という縁があるからだ。

 その後、日本亡命で力を蓄えた孫文は、清を倒して革命に成功。中華民国建国。政治を民衆の手に取り戻した…有名な辛亥(シンガイ)革命である。 

 緑にかこまれた立派でオ洒落なレストランで、美味しくて安い食事、こいつは行かなきゃ損々というものである。