ミニバンは、米国で生まれ、その市場を狙って、マツダが開発したのがMPV…1988年のことだった。

写真:1989年・発売前試乗/谷田部高速試験場。

 幸いにして米国では評判が良く、日本でもと、発売したのが、1990年だった。

 それまでは、ワンBOXバンを乗用車化した、ワンBOXワゴンが、その手の車だったから、とりあえずMPVが、日本での元祖ミニバンということになろう。

 が、日本にはミニバン市場がなく、残念なことに、素性の良い車だったが、鳴かず飛ばずとなった。

 が、一般ユーザーの評価は低くとも、専門家は評価して、RJCベスト・ミニバン賞を受賞している。

 それはそれとして、ライバルが登場…少し遅れてエスティマ、更に遅れてオデッセイが。

写真:エスティマ/千葉飯岡海岸とオデッセイ/山梨。

 が、コストパフォーマンスでは、MPVはライバル2車を上回っていた。

 価格も、2ℓが207万円。上等なV6搭載の2.5ℓでも266万円で、買い得商品と評価した。

 ふところ具合と相談で、各社を比較すれば、落ちつくところ、MPVと言う専門家が多かった…安かろう悪かとろうという商品ではないのに、人気が出ない理由は、販売力と宣伝が下手なマツダの体質が、足をひっぱていたようだ。

 そのころマツダは、米国フォード傘下だったから、両社が本気で取り組んだ作品だったのに。

 論より証拠、河口湖の報道試乗会には、ミラー社長が来て、ジャーナリストをつかまえては、評価を聞いていた。

 日本の会社で、試乗会で社長自らが評判を聞くなど、皆無と行って良い出来事だった。

 MPVの姿は、実用優先の米国向けらしく、愛想はなかったが、全幅1820㎜というゆとりから室内が広く、高級感はないが使い勝手は良好だった。

 二列目シートの横方向スライドは、三列目乗降に威力を発揮。V6エンジンは、グローバル的視野からだろう、フォード製だったが、瞬発力と騒音でマツダ製ならと思った。

 マツダは、伝統的にデザイン上手で、真面目な造り込みを専門家は評価したが、営業力というか、宣伝下手というか、ブランドが確立しなかった。

 で、バブル崩壊後の難局が乗りきれずに、フォード傘下にに入ったと言うのが、もっぱらの噂だった…が、CP優先のヨーロッパでは、性能・サービス共に、ベンツより高い評価を受けていた。

 が{栄枯盛衰は世の習い}というように、努力の甲斐あって、現在のマツダはフォードの手を離れて、元気になり、車造りに励んでいる。

 ひところマツダが口にしていた、名文句・Z00mZ00m

を歌いながら、これからも前進を続け、発展して欲しいと願っている。