ウチの近くに、日新ワールドデリカテッセンという、外人客が多い国際的スーパーがある…昔は、日進畜産と呼ぶ肉加工工場だった。
終戦までは、もっと一の橋寄りの小さな肉屋…軍御用達だったようで、戦争中も工場は稼働していた。
主人の鈴木さんはヤリ手のようで、戦後は進駐軍御用達、また宮内庁御用達の看板も見た気がする。
日進は戦後急発展。同じ古川沿の50mほど河口寄りの広い場所に移転、ドイツ風売店を持つ工場になった。
そして、終戦から三度目の引っ越しで、道の反対側、現在のデリカテッセンになった。
創業は大正5年と聞くが、鈴木さんは車好きらしく、陸王1200ccのサイドカーに、奥さんを乗せて走るのをよく見掛けたものだった。
ある日、駐車場で、当時はアメ車全盛なのに、クラシックな姿の英国車、それが2台も並んでいるのを見つけた。
2台は英国製のアルビスだった…車好きな中学生だったのに、写真も撮らず、セダンかクーペだったのかも、思い出せないのが残念だ…もっとも、当時の中学生の小遣いでは、高いフィルムが買えなくて、親父に貰ったカメラの出番が少なかったこともある。
今では知名度最低だが、その頃でもALVISは珍しく、私もエンブレムを読んで、はじめて知った車名だった。
無責任だが、年式も形式も判らない…調べたら、1940年代、50年代に、同じような姿が3種類も見つかった。
1946年登場のTA-14。50年登場TA-21。54年登場TC-21…TA-14は直四・1892cc・TC-21は直六OHV2993ccで100馬力・最高速度100マイル(160粁)が自慢だった。
写真:上アルビTA14/1946年・中TA21/1948年・下TC21/1954年。
全長4629㎜・WB2930㎜・当時主流の6Vではなく12V電池が斬新で、エンジンの圧縮比も、当時としては極めて高く、8:1という高性能車だった。
この三種類のアルビスは、多少サイズの違いはあるが、遠くからは、まるで同じに見えるほど似ている。
ちなみに、アルビスは1920年にコベントリーで産声を上げ、WWⅡ後、1967年まで頑張り、消えていった。
写真:アルビスースピード25/1935年と日本愛好家のスポーツカー/1930年代。
1920年=大正九年というと、米国で禁酒法が施行されて、ギャング横行時代に突入した年…マツダの前身=東洋工業が、またスズキの前身=鈴木織機が操業した年だった。。
1967年は昭和42年…世界初のロータリーエンジン量産化成功noマツダがコスモスポーツを発売、ホンダN360,トヨタ2000GTが登場した年である。
米国では国防省が落成…五角形の建物から、いまではペンタゴンと言えば通じる名所になった。
アルビスはスポーティーが身上で、レースでも活躍し、最後までスポーティーさを失わないメーカーだった。
写真:アルビス6TDー3ℓ/1962年。