筑波学園都市の東大通り、柴崎交差点角に、大きな鰻屋がある…ビックリするほど広い駐車場に、先ず感心するが、そこが松乃屋だ。

 和風の大きな建物、店の中も昭和レトロで、日本古来の食べもの、鰻を満喫するには打ってつけの雰囲気だ。

 学園都市で聞くと、だれもが老舗で一番美味しいという、松乃屋の初訪問は1980年代だった。

 平田裕は、日本最高の電子技術者だと思う…1980年、オッチョコチョイの私が買った、誕生したばかりの元祖PC=NEC8801の使い方が判らず、途方にくれていたら、面倒を見てくれた恩人でもある。

写真:NEC8801/左中央はカセットテープ型記憶装置・右オレンジキーボードはNEC6001簡易型PC。

 

「学園都市で旨い鰻屋見つけたから」と、平田さんに御馳走になったのが、松乃屋の初訪問だった。

 その後、近くの谷田部高速試験場には、随分出かけたのに、松乃屋をすっかり忘れていたが、食レポが仕事になると思いだし、10年ほど前が、二度目の訪問。

 コロナ禍前にも何度か行ったが、いつも予約なしで入れたのに、最近は、待たされる日もあるほど人気らしい。

 最近では、2021年の時の特上4500円が5300円に、上3600円→4100円になっているようだ。鰻屋では珍しい新香が沢庵。

 ここの鰻重は、真四角で、特上はゴ飯が見えない程一杯に鰻が寝ている…少し硬めのゴ飯は、私の好みだ。タレは甘さ控えめだが、辛口というほどではない。

 よく蒸された鰻は、フワッと柔らかで、少し焦げがある皮は、カリッとした感触がいい。

 近頃、遠赤外線方式の瓦斯で焼く店が増えたが、ここは備長炭でジックリらしく、昔の味がする。

 注文から配膳までチョット待たされるが、我々年寄りは、鰻屋では待つのが当然と思っている…あまり早いと、面食らってしまうこともある。

 昔は「こんな物で…」と鰻を見せてから、裂き、焼、蒸し、タレを付けて焼くのだから、一時間くらい待つのは当たり前だった…その間、大人達は一杯やりながら、肝焼きやウ巻きなどを食べながら、世間話だった。

 待つ時間がないと、心の準備ができずリズムが狂う…が、若い人達は、待たされるのは好まぬらしい。セッカチで余裕のない世の中になったものである。