1998年に、車業界十大ニュースというのを書いた…その原稿が出てきたので紹介しよう。

1.1998年、自動車業界最大の話題は、ダイムラーとクライスラー、二大陸巨頭同士の合併だった。

 当時両者の業績は好調だったが、性格がまるで違う結婚の先行きを心配する人がたくさん居た…結局それが的中して9年後に離婚。現在クライスラーはフィアットの子分に。

2.予想だにしなかった、日本人の米国自動車殿堂入りが話題に…本田宗一郎、豊田英二などが既に殿堂入りしていた…両者は、世界に名だたる企業経営者だが、今度は企業で働くイチ個人だったから話題に。

 その人物の名は片山豊…米国日産の社長だったとはいえ一介のサラリーマン…「ウチの月給取りだ」と、役員が不愉快そうに言ったと聞くが、役人体質の日本的企業としてはオカンムリだったようだ。

3.英国の誇りだった超高級車の身売りが話題に…ロールスロイスがVWに、ベントレイがBMWに身売りしたが、誇り高き英国人は悲嘆にくれたことだろう。

4.日産が本社ビルを売却した…ルノーの子分になり青目の社長がやってきて驚いた。村山工場が閉鎖され、日産ヂーゼルはボルボへと、本社ビル売却は大リストラ劇の前触れだったのだ。

写真:中央白いビルは旧日産本社+新橋演舞場/右は更に古い日産本社・大東ビル/前東急観光ホテル/下松竹本社/筆者空撮。

5.ブリジストンがF1で、BS傘下のファイアストンがインディーカートで、と二大陸のビッグレースを、日本のタイヤが制覇したとは、明るいニュースだった。

6.ホンダのツインリング茂木開場…総工費1200億円。20世紀最後の大土木工事完成。欧州型と米国型サーキットが揃い、各種レースが楽しめる。更に博物館、教習所、花火、曲技飛行まで楽しめるという、イベント会場の誕生だった。

写真:造成工事視察中・ホンダ名物広報マン松岡洋介/左と私・下はアクロバット飛行/後方建物はホテル。

7.スバル・レガシーと軽自動車プレオが、RJCカーofザイヤー授賞…広告宣伝費が少ないからなのか?、優れた車なのに、日本カーofザイヤーから長年無視されてきた会社の快挙だった。私がCOTYの選考委員だった頃、何度かレガシーに票を入れたが駄目だった。

写真:授賞したレガシーとプレオ/九十九里大東漁港で。

8.10月1日、軽自動車に新規格の実施で、現在シェア五割を超える、元気な軽自動車のスタートが、1998年だった。

9.大きくなるほど高級車というイメージから飛びだして{小さな高級車}と銘打ち登場したのが、トヨタのプログレ…つられて私も買ったが、直六エンジンの静かさ、丁寧に作り込まれた室内、たしかに惚れこんだが、一代限りというのが残念だった。

写真:我が家のプログレ。

10.晴れた日には対岸が見えるのに、近くて遠い房総半島にアクアライン開通…が、高い通行料で閑古鳥が鳴いていたが、森田健作知事の鶴の一声で、料金が下がり、時には渋滞が出るほどに。

 1998年=平成10年、関西では明石大橋開通。関東ではディズニーランド開場。長野五輪開催。NHK大河ドラマは{徳川慶喜}。奈良明日香村キトラ古墳の四神白虎や天文図などが話題になった。

写真:架橋工事開始直後/奄美大島からの帰路に空撮。