バンコクからチャータータクシーで約5時間、タイ王室の御用邸があるホアヒンに二泊した…同じ海岸でもパタヤなどと違い、ノンビリとした保養地だった。

写真:名所カオタキアップ・タイの江の島?頂上に寺院/右端マダムグリーンレストラン

 ホテルにチェックインしてから、街の中心に出て、マッサージと商業施設で買い物をして、さあ晩ゴ飯ということに。

 連れが「マダムグリーンという海鮮料理屋が旨いんだ」とスマホで探したら、そこから数百米の表示で、ブラブラとスマホ頼りに歩いて着いら、なんと我々のコンドミニアムの隣で、おもわず苦笑した。

写真:マダムグリーン入口

 人気が高い店らしく大混雑…タブレット片手に注文取りのマネージャーが親切で「こっちにおいでと」と目の前が砂浜という特等席に案内してくれた…おだやかな海で、遠くの観光名所カオタキアップが江の島のようで、素晴らしい景色が広がっていた。

写真:海側からのマダムグリーン/私の席は中央海岸よりだった

 店員は店名どうりのグリーンのTシャツで忙しそう…渡されたブ厚いメニューも表紙がグリーンで、料理は写真付きでタイ語英語併記だから分かりやすく、値段表示もあり、どれも安く、安心明朗会計だった。

 食べきれないほど、ポンポン注文してから、フト私がスマホの写真を見せて「これも食べたい」と連れに言うと「もっと早くいってよ」と叱られた…連れとは、食いしん坊の松下宏と諸星陽一の二名だ。

 松下さんは本ブログにも度々登場の食いしん坊仲間だが、諸星さんも食い気はなかなかのものである…店を入るときに撮った写真とは、カブトガニと呼ぶ幻の蟹…日本では瀬戸内海に生息し、長年食べたかったが食べる機会に恵まれず、いつの間にか天然記念物になり、食べるのをあきらめた蟹だった。

 尻尾の先まで50cmホドもある蟹は、グロテスクな姿で、値段は他の料理の三倍ほどもするから、タイでは高級品なのだろう…いずれにしても、恐竜時代より古い二億年前から姿を変えずに生き残り、生きた化石と言われる稀少品だから、このさい何としても食べたい一心だった。

 蟹だから、タンパクな肉、濃厚なミソと楽しみに待っていたら、裏切られた…食べるのは卵だった。頭と思われる先端を上下に開くと、中にツブツブと卵が一杯、それをスプーンでコそぎとって食べるのだ。

写真:頭を上下に開くとツブツブ卵が一杯。

 好奇心に胸をふくらませて、スプーンを口にはこぶ…三人共に「うむっ」と言ったきり二の句がでない…こいつはマズイということになり、半分以上残すことになった。でも、負け惜しみではなく好奇心は大満足で、心中幸せだった。なにしろ幻の化石を食べたのだから。

写真:上/蟹のツメ・下/イカ

 もちろん、他の海鮮料理はみな旨かった…論より証拠と言うが、あくる日のディナーも、二日続きでマダムグリーンとなった。