エホバの証人は、聖書的で無いという理由で誕生日やクリスマスを祝う事を禁じています。
JWの宗教行事として行なわないだけでなく、学校や職場の中で、また友人や親族によるささやかなパーティーに参加することも「おめでとう」の挨拶を交わす事さえ厳しく禁じています。
違反をした信者は助言や叱責の対象です。
JW二世の子供達は「エホバが悲しむからお祝いしないのよ」と繰り返し教え込まれますが、本当の神様であればそんなこと全く気にしないのでは無いでしょうか。
愛する我が子が無事に歳を重ねることを祝うのはごく自然な感情ですし、暗く寒い冬に祝うクリスマスは人々の心に温かい灯をともしてしてくれます。
母がエホバの証人になる前は当然我が家でも誕生日を祝っていました。
骨付きの照り焼きチキン、小さなホールケーキ、そしてボードゲームやおもちゃなどのプレゼントがありました。誕生日の朝は「今日から○歳なんだ!」と心から感動したのをよく覚えています。
そしてクリスマスですが、これは我が家ではちょっと変わっていました。
と言うのも私の父の誕生日が12月25日のクリスマス当日だったからです。
熱心なカトリックの家庭で生まれた父は「クリスマスに生まれたこの子はきっと神に仕える人生を歩むに違いない」と大いに期待されたようですが、残念ながら信仰心を持たない、世界を放浪するバガボンドに成長してしまったのは計算外だったと思われます。
そんな父ではありますが、本格的なカトリックのクリスマスを知っているため中途半端な飾り付けなんか逆にいらない、プラスチックのツリーも気持ち悪いというこだわりがあったために我が家でクリスマスをお祝いした事はありませんでした。
このため、世間がクリスマスで大いに盛り上がる12月25日は我が家では「父の日」となっており、母からはチョコレートなどのささやかなプレゼント、子供たちからはお絵描きやカードなどを父に贈ってハッピーバースデーを歌う日でした。
そしてある日、JWとなった母から今後は誕生日のお祝いをしないという宣言が出されました。
え~つまんないの~と思いましたが母の機嫌を損ねたくなかったので、子供たちも父も特に文句を言うこと無く母の好きなようにさせました。
しかし、それでも子供にとっての誕生日というのは一年で最もスーパースペシャルな日であることに変わりはありません。三姉妹の誰かが誕生日を迎えると三人とも朝からソワソワして、目が合うとうひゃひゃひゃと意味も無く笑ってしまったり、でも「おめでとう」を口に出さないように頑張ったり、とにかく気疲れする一日でした。
そんな感じで数年が過ぎたあるイブの晩、母が父に「あした駅前でケンタッキー買って来て」と頼んでいるのが聞こえました。ただ、夕食を作るのが面倒な時は時々こんな風にケンタッキーを買って来てもらうことはあったので、誰も特に不思議には思いませんでした。
そしてクリスマス当日、何だか妙に食卓が華やかです。
キャンドルなんかも飾ってあります。
一体どうしたというのでしょう。
熱心な信者である正規開拓者の母は
何を考えているのでしょう?
分かりません。
誰にも読めません。
そして父が帰ってきました。
片手にバケツのケンタッキー、
もう片手には半額セールのクリスマスケーキ。
当然の展開です。
母はいそいそとケーキを冷蔵庫に仕舞うと、
「ジャジャーン」
と言いながら父に何かを手渡しました。
リボンも包装紙もありませんが、
レコード店の袋です。
父が袋から出したのは、
スティービー・ワンダーの
クリスマスアルバムでした。
素直に喜ぶ父。
固まる子供達。
お母さん・・・どうしたの?
エホ・・・バは、いいの?
母の意図が良く分かりません。
早速レコードに針を落とす父。
♬ Someday at Christmas...♪
スティービーの歌声が流れた時、理解しました。
これ、お母さんが聴きたかったやつじゃん!
そう、数日前にラジオからこの曲が流れた時、
思わず母がボリュームを上げたのを思い出しました。
うん、スティービー・ワンダーいいよね。
私もめっちゃ好き。
お父さんをダシに使いましたね?
まぁ良いか。
だってケンタッキーは美味しいし、
ケーキはあるし、
なんか家族が笑っているし。
そしてそれ以降、我が家では12月25日にスティービー・ワンダーのクリスマスアルバムを聞きながらケンタッキーをいただくというコテコテのクリスマスが、毎年の行事になったのでした。
Someday at Christmas:
リトルツリーの歌、スヌーピーの動画付き:
***
~おまけ~
最近面白いと思ったRobbie Williamsの新曲。
プー子による訳詞付き:
なんて悲惨な年
Oh what a miserable year
生きている事がこんなに有難いなんて
But what a time to be alive
悲しい事に何人かの友をなくした
Sadly some friends disappeared
こんな事は今まで初めてだ
It's never been like this before (ooh, ooh)
まるで戦争じゃないか
It feels like we're at war (ooh, ooh)
So I wonder who's gonna decide
蛍の光が歌えればいいのに
If we can do the Auld Lang Syne
好きなようにできたらいいのに
I wish that I could do what I like
自分の家族と一緒に
With this family of mine (ooh, ooh)
頭がおかしくなりそうだ
We're going out of our minds (ooh, ooh)
So what are we to do
FaceTimeやZoomはどうなんだ?
About your FaceTime's and your Zooms?
There's a room inside my mind
いつだって君のために用意されている
And it's always here for you
Nothing's gonna stop Christmas
誰にも止められない
No chance
You can't take away our season
疑問が無くならないのと同じことさ
Like you can take away the why's
(ソリに乗ったサンタも今じゃ2メートル離れている)
(Santa's on his sleigh, but now he's two meters away)
The people gonna need something to believe in
ずっと閉じ込められていた年だから
After a year of being in
(We've got a wish list to catch the Christmas time)
If you're wondering what I like
靴下と消毒液なんかいいかもね
Socks and sanitizer will do fine
買い物もきっとオンラインだ
I guess you do your shopping online
The high street lights are out(ooh, ooh)
誰も出歩いてない
There's nobody about (ooh, ooh)
So where will we all be
来年の今頃は?
Come this time next year?
君ならきっと一緒にいてくれるね
I know you'll be with me
そして僕もここにいる
And I'll be here
クリスマスは奪えない
Nothing's gonna take Christmas
You can't take away our season
疑問が無くならないのと同じことさ
Like you can take away the why's
(Santa's on his sleigh but now he's two meters away)
The people gonna need something to believe in
After a year of being in
(クリスマスに追い付くために、ほしい物リストも用意した)
(We've got a wish list to catch the Christmas)
Why, oh why are we all waiting?
The whole damn world anticipating
退屈と苛立ちの向こう側
Beyond boredom past frustration
地球がとらわれてしまった
The planet's locked in
You can't take away our season
疑問が無くならないのと同じことさ
Like you can take away the why's
(サンタクロースをだまそうぜ、今年は1984年だって)
(Let's lie to Santa Claus, tell him it's nineteen eighty four)
The people gonna need something to believe in
After a year of being in
これを待っていたんだ
We've all missed this
ほしい物リストはここにある
So here's our wish list
クリスマスはもう止まらない
You can't stop Christmas time