4月12日(火)

 中国の北朝鮮レストランでは働いていた13人の女性従業員の集団亡命に続き、人民軍偵察総局の中堅幹部(大佐)が韓国に亡命していたことを韓国当局が追認したことで、「金正恩体制に異変が生じているのでは」、「国連の制裁措置で体制内で動揺が起きているのでは」と、韓国のマスコミはこの亡命ニュースを連日大々的に報道している。

 昨日夕方に放送されたTV番組でもコメントしたが、13人の集団亡命は全員が出身成分(家柄)もよく、党への忠誠心も強く、外貨獲得のため選抜された先鋒隊だけに金正恩政権に与えた衝撃は大きいものがある。

 党に最も忠実で、思想的にも鍛錬されているはずの、それも韓国に亡命すれば、両親や兄弟らがどのような目に遭うか誰よりもわかっているはずの彼女らが覚悟の上で国を捨てたということはよほどのことである。

 営業不振により本国に召還され、処罰されるのを恐れ、悲観してのことか、それとも自由や韓国への憧れからなのか、今ひとつよくわからない。営業不振が原因ならば、責任者が処罰されることはあっても一般従業員にはお咎めはないはずだ。

 また、韓国当局が言うように自由や韓国への憧れからだとしても、そう簡単に親、兄弟を捨てられるだろうかとの疑問も沸く。まして、彼女らは海外に出られるだけでも、それなりに恵まれている立場にある。亡命の動機が何か、知りたいところだ。

 もしかしたら、ばれたら、帰国したら全員処罰されかねないような、連帯責任に繋がるようなことをしてしまったから帰るに帰れないのでは?

 偵察局の中堅幹部の亡命については、亡命軍人としては過去最高の階級であること、また、軍の秘密組織である偵察局から出たことで、これまた北朝鮮にとっては痛手である。

 但し、亡命が半年前であったこと、また、情報漏えいや監督不行き届きの責任を取らされてしかるべきトップの金英哲局長が今なお、健在であることから北朝鮮からすれば、大佐の亡命事件は「過去の問題」として処理されている可能性も考えられる。

 しかし、亡命の事実を金正恩第一書記に伏せていたならば、話は別だ。金局長へのお咎めは避けられないかも。

 今日は、この件で午後からTVに出演することになっている。