
さいきん読んだ本の中から、地域に密着した本を3冊。 ◆椚國男 1996 『土の巨人 -考古学を拓いた人たち-』(多摩歴史叢書4) たましん地域文化財団 日本考古学黎明の時代から、八王子を中心とした多摩地域では地元の人々が遺跡・遺物に強い興味をいだき、重要な成果をつぎつぎに挙げてきました。 この本では、塩野半十郎・井上郷太郎・石井真之助などの考古学に魅せられた在野の人々、また彼らと同時代に生き、地域出版社の設立や「ふだん記」運動など、活発な文化運動を展開した橋本義夫らを紹介しています。 著者は、高校で教鞭をとりながら長年考古学研究を続けてきた椚國男(くぬぎくにお)先生。『古墳の設計』や文化財保護運動で、第1回藤森栄一賞を受賞されています。 その文章からは、「土の巨人」たちの情熱が真に迫って伝わってくるとともに、彼らに対する著者の深い敬愛の念が感じられます。 ◆馬場善信 1987 『峠と路 八王子とその周辺』(かたくら書店新書23) かたくら書店 八王子の山や丘に所在する峠道や坂道を、丹念に歩いた記録。 地域の歴史や地名に関する広範な知識と、簡にして要を得た地形や景観の描写が秀逸です。 大都市東京のベッドタウンとして住宅団地等の建設が盛んな八王子。この本に紹介されている峠や坂の中には、もう既に失われてしまったものもあります。 ◆村上光彦 1989 『鎌倉百八箇所』(用美文庫) 用美社 題名のとおり、鎌倉の108箇所を訪ね歩いた本です。 著者は大仏次郎の研究でも知られるフランス文学者。 鎌倉への深い造詣とともに紡ぎ出される文章は、まるで文学青年のようにみずみずしく、何度も読み返したくなる味わいがあります。