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先日、府中市にある、国史跡の武蔵府中熊野神社古墳に行ってきました。

場所は、JR南武線の西府駅から歩いて10分ほど。

甲州街道沿いに大きな看板が立っているので分かりやすいです。
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熊野神社古墳は、ごく最近みつかった古墳です。

長い間、神社の裏にある土の高まりは、古墳か、それとももっと新しい時代の塚か不明でした。

転機となったのは、明治時代に発行された『武蔵野叢誌』19号に掲載されていた、熊野神社裏の塚に関する記述の再発見でした。そこに描かれていたのは、古墳の横穴式石室を思わせる描写でした。

この記述の発見を受けて、熊野神社裏の塚が古墳であると述べた論文が発表されたのが1996年。

そして、2003年から行われた発掘調査によって判明したのが、この古墳が全国的にも非常に珍しい形の古墳であるということでした。
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発掘調査の結果わかったのは、この古墳は上円下方墳という形であること。
このような形の古墳は特殊で、全国でも数例しか確認されていません。

墳丘は3段で構成されており、下の2段が四角形、上の一段が円形です。

いちばん下の一段目が一辺約33m。
二段目が一辺約23m。
三段目が直径約16m。

全体の高さは、調査時で約5m。

石室は横穴式石室で、大刀の鞘尻金具や、棺の金具、ガラス玉などが出土しています。

石室の形や出土遺物などから、この古墳が造られたのは7世紀の中頃とみられています。
歴史の教科書で言うと飛鳥時代に当たります。


ここから東へ2kmほどの場所には、8世紀に古代の役所である武蔵国府が置かれました。
熊野神社古墳が造られたのは、その少し前の時代。

古代国家による地域支配の成立過程を考える上で、熊野神社古墳は重要な古墳です。
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現在、熊野神社古墳はきれいに復元整備されています。

今年の9月には、すぐそばに国史跡武蔵府中熊野神社古墳展示館がオープンしました。

パネル展示が主ですが、墳丘の版築の様子が分かる剥ぎ取り土層標本が展示されています。
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熊野神社古墳については以下の本があります。
◆府中市郷土の森博物館編 『あすか時代の古墳』(府中市郷土の森博物館ブックレット8) 2006年

また、広く多摩地域の古墳については以下の本があります。
◆八王子市郷土資料館編 特別展図録『多摩の古墳』 2009年

どちらもフルカラーで写真や図が多く、内容的にもたいへん分かりやすいのでおすすめです。