【我思う、故に我あり】
ふと自分の釣りと、その在り方というものについて考える。          
釣り人の世界…特にSNSの界隈ではしばしば、釣り人は「ガチ勢」と「エンジョイ勢」というカテゴリに区分される風潮にある。

時として「あいつはガチ勢だから…」「所詮はエンジョイ勢でしょw」のように揶揄されるのだけれど、「ガチでエンジョイ勢」の僕は、一体どうしたらいいのでしょう。

釣り人には釣り人それぞれの求むるものや価値観がありまして。単純に釣果だけを求むるのならば其れを追い求めればいい。大手メーカーのタックル、釣れると評判の、人気のルアーを使えばいい。

何なら釣果だけに特化するならばルアーである必要はないわけで、コストパフォーマンスだけを追い求めるのであればそもそも、釣りをする必要も無くて、スーパーで買った方が遥かに良い事も少なくはない。

じゃあ何故、僕は釣りをするのか。
例えば登山家にこの質問をすれば「そこに山があるから」、レーサーに聞けば「そこに道があるから」と答えるだろう。単純な回答にして全てを語っているし、釣り人にとっても「そこに水辺があるから」がある意味一番模範的な回答になるだろう。では敢えてその模範解答を避けて僕なりに回答するならば…

「遠足は家に帰るまでが遠足です」

これは小学生の頃に誰しも聞いた事があるだろう、遠足から出発点の校庭に戻って来た時の先生方の常套句なのだけれど、これを拡大解釈したものが、僕にとっての「釣り」の意義なワケで。
僕にとって釣りとは、その行き帰りの道中も、ふらっと立ち寄ったメシ屋も、釣りから帰って喉を潤す一杯も、床につくまでのその全てがその日の「釣り」というものであって、その釣りという時間や空間に費用対効果は求めていない。ソロ釣行にはソロ釣行、気心知れた親友との釣りや、時には仲間とワイワイと。金に余裕がある時はある時の、ない時はない時なりの楽しみ方で、それぞれ全力でその時間や空間をしゃぶり尽くすのが、僕にとっての「釣り」なのです。
「車で何時間もかけて釣りに行って釣果がカサゴ数匹でキープゼロとか馬鹿じゃないの?」とか「そんなタックルとかルアーで釣っても釣れないよw」とか、色々と否定的なお言葉も頂きますが、全然それでいいんですよね。そんな日もあれば、笑いが止まらない日もある。それもひっくるめて、僕にとっては楽しい時間なのです。

釣具選びもまた然りで、思い入れのあるメーカーや釣具を使って魚にたどり着く事を、僕は悦びとしています。たまに後学の為に人気のルアーなどを手にしてみる事もありますが、基本的なスタンスは

「コレであの魚を釣ったらかっけぇ、楽しい!」


なのです。それはバスフィッシング黄金期にトップウォーターゲームに魅せられてから、今も変わらぬ我が釣りの信条となっています。あの時味わった「こんなん(釣具)で釣れるの!?」って感動を、今もまだ、追い求めているのです。だから今では誰も見向きもしないような絶版ワームやB級ルアーに心踊らせてみたり、最新のタックルでガチガチに固めた釣り人の隣で30年も前のタックルで挑んでみたりを楽しんでいるのです。


ご縁があって2023年の秋より「INXlabel」というメーカーのお世話になっておりますが、そもそもこちらにお世話になるきっかけというものがこのINXlabelというメーカーのモノづくりのスタンスというものにシンパシーを感じたから。



決して大きなメーカーでは無いし、アイテムの生産/供給スピードも生産量も、プライスも大手メーカーには及ばないかも知れない。
だけれど此処にはただベイトに見た目を寄せただけの「疑似餌」としてのルアーではない、ルアーフィッシングの原点というか僕にとってもっと本質的なもの…ルアーで魚を釣る「楽しさ」がある。

キャストをして楽しい、キャストが決まって楽しい、操作をして楽しい、魚を仕留めて楽しい、工夫をしたりあれこれ考えながら釣るのが楽しい。そして所有する楽しさもある。

そしてそんなメーカーのサポートを受け始めた僕にとってのルアーフィッシングの原点というか根っこは変わっていないワケで、前述の通りの性癖とも言えるスタンスはそのままに、メーカーの製品を使った釣りを全力で楽しませて頂いております。




「美学」と言うのは烏滸がましいというか、そこまで美しいものではありませんが、人それぞれの釣りに求むるものや価値観がある中で、これが僕の釣りのスタンスなのです。

もちろんストイックに釣果だけを追い求めたスタイルも、釣り具の性能を追求する楽しみ方も、安価で道具を揃えて「釣れたらいいねー」くらいのライトな釣りとの向き合い方も、それぞれがそれぞれに楽しければアリだと思います。

我思う、故に我あり。それぞれに皆さんの釣りの在り方というものがあるかと思います。たまに立ち止まって自分にとっての釣りの原点や価値観と向き合ってみるのもまた一興かと思います。