【キャッチ&ディッシュ】
                    
清蒸石斑魚(チンジョンシバンユー)



熟成9日目のオオモンハタ、豪快に丸ごと蒸して台湾の魚料理、清蒸魚(チンジョンユー)にしてみた。ハタは石斑魚、ということで清蒸石斑魚って訳だが現地でそう呼ばれているかは知らないが、こんなものはノリだ。
                     
魚に紹興酒と塩を馴染ませて皿に横たえ、繊切りの生姜と一緒に皿ごと蒸す。         
10分ほど蒸してある程度火が通ったところにオイスターソースと追い生姜、白髪ネギを加えて更に蒸すこと5分。蒸し上がりにシャキシャキの白髪を更に載せ、その上からあつあつに熱した胡麻油を掛ける。            

                    
バチバチバチ…!という音と共に葱と胡麻油の香りが立ち込めて皮目がパリっと萎縮する。さあ、いざ実食!
                  
プリっと張りつめた皮目に箸を入れると箸の入った箇所から身を包んでいた皮が裂け、瑞々しく美しい白身が湯気を纏って現れる。口に含むと仄かな紹興酒の甘い香りと上品でいて濃厚なハタの甘味が華を咲かせる。   
                     
嗚呼、旨い。               
                     
熟れたハタの旨味には毎度毎度感動させられる。だけど今回はそれ以上に感動させられた事がある。それはこの料理が出来るまでの工程にある。        
                 
何故二回に分けて薬味や調味料を加え、最後にあつあつの油を回し掛けるのか、ひと口食べてその理由に気がついた。      
                  
僕は料理を作りながらソースを作っていたのだ。         
紹興酒を馴染ませたハタから出た旨味たっぷりの蒸し汁と香味野菜の風味…そこにオイスターソースが蒸されて馴染み、胡麻油の香りが加わり、全てが溶け合う。そしてその皿の底に極上のソースが完成する。        
洋食、和食など多くの料理は料理と別にソースを作る、もしくは調理をした後のフライパンで食材の旨味を移したソースを作るのだが、この料理はそれを全て、皿の上で完成させる。食材の旨味だけでなくその蒸気さえも味方につけた大胆で合理的、それでいて無駄のない調理法、スマートフォンを片手にレシピを見ながら何となく作っていたが、食べてみて全ての工程に意味があったことに気づき、感動して、おののく。           

中国三千年、四千年の歴史とはよく言ったもので、改めてその懐の深さと技法に脱帽する。たったひと皿の蒸し魚にこれだけの旨さのメカニズムが詰まっているとは!大袈裟ではなく、本当に感動した。               
                   
だから釣りは、釣魚料理は面白い。                 
                  
今日もまた、海のMEGMIに顔射…否、海の恵みに感謝です。