✳2019年5月23日に投稿したブログを加筆修正したものです。




20世紀のモダンバレエの最高傑作と言われるベジャール振付の『ボレロ』


歴史を語れるほど詳しいわけではないで、おこがましいですがにやり

61年、20世紀バレエ団のみんなで海水浴を楽しんでいた時、団員のディスカ・シフォニスが海から上がって来た瞬間、男性達がみな彼女に目をやった。
その瞬間、ベジャールの頭の中にあの『ボレロ』が生まれました。
ひとりの女性を取り囲む男性達の欲望の視線。


それ以来ずっと女性が踊っていたのが『ボレロⅠ』



 


他にもいろんな女性ダンサーが踊っていて、クロード・ベッシーも。

そして、あのマイヤ・プリセツカヤ。
彼女は振りをとうとう覚えきらずにベジャールに「このまま何も出来ずに国に帰るつもりか!」と言われたのだそうで。
振りにベジャールが「蟹のポーズ」とか「〇〇のポーズ」と名付けて覚えさせようとしても駄目だったそうです。

誰にでも……天才であっても苦手なものってあるものですよねニコニコ

結局、ベジャールが舞台のマイヤから見える場所に立ち、振りをしてみせてリードしたのだとか。
スザンヌ・ファレルの『ボレロ』も何年か前にyoutubeで観たと記憶しているのですが、再度探しても見当たりませんでした。
モノクロでポニーテールでファレルさんだと思ってたけど記憶違いなのかな…。
軽やかで結構良かったんですが。
ベジャールはファレルの『ボレロ』がお気に召したようです。

そして、この『ボレロ』
男性ダンサー達も多くの人が踊りたいと、ベジャールに訴えたのです。

20世紀バレエ団内のカサドやパオロ•ボルトルッツィ
そしてあのヌレエフも
シリル・アタナソフも゙

でも、ベジャールの答えはいつも
「だめ、だめ、絶対」

でも、そのうち自分の方から
「ところで、なぜだめなんだ?」
と、疑問を抱いたそうです😅


そして79年、ベジャールがジョルジュ・ドンにボレロを踊るよう告げる前に

ベジャール「君を驚かすことがある」
ドン「驚かす?いつものこと」
ベジャール「君に素敵なプレゼント(ボレロ)をするよ」

と言ったのだそうです。

メロディが男性に変わったので、女性がリズム。
それが『ボレロⅡ』





79年のドンさんの『ボレロ』の動画を一部観ましたが、まだ“直線”が多いイメージでした。
(ジョルジュ・ドンと言えば、”曲線“の人)


ある公演からリズムも男性にしたら、迫力が出て良かったとの事で、それで続ける事になりました。
それが『ボレロⅢ』



また、当初はリズムが衣装をつけていましたが、後に全員上半身裸に変わりました。
これは三宅一生のアドバイスによるものです。
衣装の事でベジャールから間接的に相談を受けた三宅さんが、「ダンサーが一番美しく見えるのは結局は裸だ」と言ったのです。
あのリズムの衣装は、東洋人には合わないと思うので裸になって良かったと思います。

個人的に男性のボレロの方が好きですが、シルヴィ・ギエム様はやはり別格です。




ギエム様もまた、『ボレロ』を踊りたいと熱望したそうですね。

プリセツカヤが『ボレロ』を踊ったのが50歳の時。
ギエムが引退のため最後に『ボレロ』を踊ったのが50歳の時。
奇しくも2人はボレロを知った時、同じようなことを考えました。
「これは私のための踊りよ。私は絶対にこれを踊るわ」

不思議な縁(えにし)ですね。

 


続く