演劇女子部『ネガポジポジ』AチームBチーム比較(加賀楓と高瀬くるみを中心に) | カバオの現場探訪記

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演劇女子部『ネガポジポジ』

 2日目まで終わりましたね。AチームとBチームを観ての主観的な感想です。
 劇中の細かいエピソードには触れませんが、ややネタバレ要素を含んでおります。そして演技の巧拙を語るものではないという点にご留意ください。



 この物語は由美とりさの関係性が常に物語の中心にあるわけですが、ラストがAとBでまったく違う見え方になっていました。ひとことで言うと、Bの方がずっとわかりやすいというか、理解できる普通の演劇でした。Aを観たときはカオス感というか、わけわからないけどなんかすごい、という感想でしたが、Bは「ああ、これってそういう話だったのね」って終わり方。

 で、終わってから色々と振り返ってみて、というかラストから逆算してひとつひとつのシーンを解きほぐしていった時、上演中に自分が主に観ていた加賀楓と高瀬くるみの「りさ」という女の子(以下、演者に倣い加賀りさ、高瀬りさとします)の捉え方、解釈の違いなのかなという気がしてきました。簡単に言うと以下のようになります。

 大前提として、りさは自分の出自や容姿に強いコンプレックスを抱いています。ただ、加賀りさと高瀬りさはそのコンプレックスの種類が違うんです。

A 加賀りさ 非常に内向的で卑屈。「自分はダメだ」という強い思い込みは「絶対評価」。自分にないものを持っている由美に対しては、彼女に近づき、彼女のようになることで自分のコンプレックスが解消できるのではないかと思っている。

B 高瀬りさ 他者との比較や周囲の評価が気になり「他の人と比べて自分はダメだ」という「相対評価」。なので由美のようになりたいと思う一方で、由美は高瀬りさのコンプレックスの根本のところにいる「自分よりすごい人」の代表でもある。


 加賀りさはとにかく内向きで、これじゃない自分になりたいという思いが強い一方で、じゃあそれはなんかのかと言われると中身がないから結局なにも変わらないという女の子。だから誰かの真似をすることで違う自分になろうとする。

 高瀬りさは由美のことがずっと気になっている。でも、それを素直に言うのは負けを認めるようで言えない。由美に負けない自分になりたいけど、どうやったらなれるかは全然わからなくて、変われないまま空回っている女の子。

 もちろんチーム全体としての芝居なので一人を取り上げて書くのがどこまで的を射た分析になるのかわかりませんが、自分なりの解釈です。

 この違いはどこから来るのか。これはわりと演者本人の性格に起因する部分があるのではないかと思います。加賀りさは加賀楓が、高瀬りさは高瀬くるみが、それぞれ自分の中にりさを取り込んでつくりあげた人物です。その中には、少なからず演者本人を写し取った部分が出ているのではないでしょうか。

 脚本と演出を担当した江本純子さんも「正解は自分で見つけること」と演者に言ってます。つまり、あえて演者によって解釈が違うことを許容しています。それならば、加賀りさと高瀬りさは、彼女たちが見つけたそれぞれの正解なんだろうと思います。

 では、加賀楓と高瀬くるみのどういう部分を反映したものなのか・・・なんてことを書き始めると大変です。ただ、普段の日記や、他のメンバーから語られる姿を見ていると、それなりに納得がいくんですよね。

 加賀楓は自分のパフォーマンスに納得いくかどうかを重要視します。後輩からリスペクトされても、自分はまだまだだという意識が強いです。最近は研修生のリーダーとして「自分」の範囲が広がり、研修生全体のパフォーマンスを高めることも目指すようになりました。

 高瀬くるみは、常に一番を目指している負けず嫌いです。加入当初は強烈な目立とう精神がハロプロ研修生という集団の中で浮いている部分もありましたが、最近はハロプロメソッドを踏襲しつつ、そこに自分の味を加えることでキラリと光るものを見せてくれるようになりました。

 面白いなあと思うのは、この2人はこうした性格の違いだけでなく、スタイルやファション、歌い方、これまでの経歴など、色んな部分で正反対なタイプです。でも、お互い、自分にない部分へのリスペクトがとても強いんですよね。

 研修生発表会の『大好きだから絶対に許さない』オーデの映像で2人のハーモニーを聴いた時に「こんなに合うのか」と驚きました。2人ともデビューをなかなか勝ち取れずにいる研修生という立場ですが、意外と一緒にデビューしたら良いパートナーになるんじゃないかと勝手に思ってます。

 『ネガポジポジ』の話からだいぶ逸れてきたので、ここらで終わりにします。今日はCチームの初日であり、Cでりさを演じる小片リサの誕生日でもあります。ってことで、池袋シアターグリーンに行ってきます。

 それでら!