日本に、託生の元へやって来れたのは五ヶ月ぶり。

間、なんだかんだとイレギュラーな事ばかりで何度か予定をドタキャンしてしまった。

その都度託生は仕方がないよね、と少し残念そうに笑っているだけ。決してオレを責めたりはしない。

だから、少しでも託生を喜ばせようとこれから行く事は連絡していない。

この時間なら出掛けてもいないだろうから、そう思って向かった託生のマンション。

フロントガラスの向こう、エントランスから出て来た人影に目が止まる。

「何処かに行くのか?」

いつものボディバッグを掛け託生は何処かへ行くようだ。

が、駅とは反対方向に歩いている。

「ん?」

マンションの少し先に止まる一台の車に託生は乗り込んで行く、とても自然に。

そして託生を乗せたその車はゆっくりと走り出して行く。今すぐ託生に連絡をすればその車から降りるだろうか。

いや、やめておこう。

一体何処へ行くのか、運転席の人物は何者で託生とどう言う関係なのか突き止めないと。