DOG DAY AFTERNOON -狼たちの午後-
Cast.
Al Pacino, John Cazale
Rating
午後2:57 ニューヨーク。
白昼堂々、三人の男たちが銀行を襲ったが、現金はすでに本社に送金され、ほとんど残っていなかった。 さらに一人は怖気づき逃走。 そこへ完全包囲を知らせる警察からの電話が入った。 途方に暮れ、戸惑いながらも、追いつめられた二人は意外な行動をとった。 取り囲む250人の警官を相手に、人質9人を取って全面対決することを選んだのだ・・・
1972年に実際に起こった事件をモデルに製作された作品です。
まだまだ若かったアル・パチーノが、汗だくになりながら、悪知恵の働く犯人を演じている。 だが、彼が演じる犯人ソニーの特徴は、悪知恵だけにとどまらない。 ヒステリックになったり、人質をはじめ相手に対する思いやりを持っていたり、その複雑な感情が次第に見え始める。 さらには、ゲイであるということまで浮き彫りになる。 加えて、共犯者のサル。 ベトナムからの帰還兵であり、塞ぎこみ屈折した、不安定な心情の役柄である。 そんな彼らが、不条理で哀しく、満たされない現状を打開しようと犯行に及んだのが今回の事件であり、絶望感に似たものを伝えている。
さらにはテーマとして、人質と犯人の心理や、事件に群がる群衆とメディア、警察がサルを「悪」と決め付けたことに表される人間の習性、また当時話題となっていたアッテカ刑務所での暴動事件など、様々な要素が織り込まれているのだが、なかでも血・金・ニュースなどに対する人間の“狂気”がハッキリと描かれていたのが、印象的だった。
俳優たちの演技は◎! 実話に基づいていることも手伝って、ストーリーや構成も文句ない。 ただ、事件の追い方など、メディアを通してニュースを観させられているような感じになることもあり(それも演出だし、楽しめる点でもあるのですが)、少々ドキュメンタリー的な雰囲気もあるので、途中退屈に感じてしまう方もいるでしょう。 そこをマイナス点としました。
「狼になれなかった犬」のお話。 ちなみに、原題を訳すと「夏も盛りの暑い午後」みたいな感じでしょうか。 暑さの中、舌を出している犬の顔が想像できる。 観るたびに味が染み出してくる傑作。 これは5年に一度くらいのペースで観直したほうがいいかも知れない。。。
ソニーが最後に、自分が人質として取っていた人たちを眺めている、その表情が忘れられない。