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「アウトギャップの無限試算」 上遠野浩平 著

出版社:祥伝社 ISBN:9784396208905

 

 

あらすじ:「生命と同等の価値のあるものを盗む“ペイパーカット”の予告状が投稿サイトにアップされた。手品の動画の一場面だった。サーカム保険の調査員伊佐俊一と千条雅人は演技者を訪ねた。だが、そのマジシャンはペイパーカットの秘密はいただくという不敵な宣言を残し姿を消す。やがて男は密かにマジックショーを企画。狙いは何か?浮上する伝説の歌手との因縁……。謎の解答と男の関係は?ライバルの女手品師、トリック作りの天才少年も巻き込み、世紀のマジックショーの幕が開いた!」

 

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-いよいよ6作目!-

このシリーズも6作目!2017年初読書談義はソウルドロップシリーズからと相成りました。6作目まで来ると世界観やらノリにもついてこれるようになってきますよね。んで、今回のテーマはマジック!前回が映画、その前が陶芸家が関わったりと何かと一芸ものが関与してますよね、最近のソウルドロップシリーズ。

 

マジックなんて言うのは芸能でいくと謎に満ちてますよね。華々しいイメージがあります。そんな中に例の如く飴屋ことペイパーカットが紛れ込んでいるわけです。それを追う我らがいっさんこと伊佐と相方の千条君。いや、怪盗を追う探偵ということで実に単純明快なストーリーです。相変わらず、振り回されるわけですが…。

 

しかし、今回はいっさんと飴屋がついに対面を果たします!ペイパーカットといっさんの対面はなかなかに興奮しました。しかしながら、ペイパーカットは人知を超えた存在である事は間違いなく、いっさんには彼が何者であるかなど掴めそうで掴めない。去り際に「君の未来だ」なんてわけのわからん事言われたら余計に「君の名前は?」と言いたくなっちゃう位に益々「興味」持っちゃうじゃん…。

 

飴屋からすれば、そうやっていっさんをたきつけるのが目的なんでしょう。明らかに試しているんですよね~。どうでるんだろうかと。どう反応するんだろうかと。一応そうやってきちんと果たすべき「調査」をきちんと行っているわけです。空の彼方にいるお仲間さん達にそれを伝えるため、一応調査しているわけです。いっさんの行動いかんでガチで人類の未来は決まりそうだよなぁ~とか思っちゃうんですけど…。だから「君の未来だ」なんてことを言っているんじゃあないかなと思うんだけど…。

 

ーみなもと雫というキャラの存在感ー

みなもと雫もこの作品ではなんだかんだ存在感のある不思議な女性です。他人の人生に色々と影響及ぼしすぎなんですよ、彼女(新作『パンゲアの零兆遊戯』でも登場したけど、その時も彼女の影響力は凄いものでしたな)。

 

MPLSなのかどうなのかは分からないけれども、上遠野さんの作品にはちょくちょく普通人だけれども、何がしかの影響力を持った人っていうのはチラホラ出てくるのでおそらくはみなもと雫もそういう類の人種だったんだろうなと思います。

 

ー印象は普通か・・・ー

しかしながら、今回は割とあっさりとした印象。今回は伊佐、千条ともにどこか周りに流されている感じがしました。いつも以上に積極的ではなかったというか。そうであったからペイパーカットと出会えたような気がしないでもない。

 

登場人物も色々と出ては来るものの、気になるキャラとしてはトリート先生というトリック作りの天才少年の方が気になりました。なにせどう考えても「MPLS」としか思えない能力者っぽい描かれ方をされているものでね。相手の死角に入りこめる能力みたいなそんな感じな印象を受けました。ただ、積極的に使っているというよりもその力を何に活かせばいいのかいまいち決めかねているのでとりあえずマジックのトリックを作るのにその才能を使っているような感じなのかな?あくまでも推測なんですが…。

 

-最後に-

 

去年は11月に「パンゲアの零兆遊戯」が出て「ソウルドロップシリーズやーー」と思ったら、ソウルドロップシリーズと同一の舞台だけど…って感じのスピンオフ的なお話だったので「うぉおおお」という感じでしたし、「螺旋のエンペロイダー」も最終回を迎え「これで一息つけるね」と思ったら「奇蹟使いの話書かないとなぁ~」と次の連載作品の概要っぽいのをサラリと言っていたりと何かと話題が尽きない上遠野さん。

 

さらに今年はJOJO30周年なので、もしふたたび「VSJOJO」があるとすれば、以前語っていた「クレイジー・Dの悪霊的失恋」がいよいよ「マジもん」になるのか?と期待せずにはいられない。昨年で「第4部」も世間様には認知されたので是非とも「VSJOJO」やっていただきたいですなぁ!

 

ないとマジでこの「クレイジー・Dの悪霊的失恋」は日の目を見ることがないと思うのでホント頼むで、集英社さん!上遠野さんに声をかけてあげて…。とまぁ、かつくらが発売されればどうなるのか分かると思うので、毎年恒例の「かつくら」の発売日を楽しみに待とうかなぁと思います。

 

 

 

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次回は

北欧ミステリィ。

「緑衣の女」

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