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「鋼殻のレギオス6 レッド・ノクターン」

雨木シュウスケ 著 出版社:富士見書房

ISBN:9784829119266 値段:580円(税別)

レッド・ノクターン―鋼殻のレギオス〈6〉 (富士見ファンタジア文庫)/富士見書房
¥609
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あらすじ:『「ニーナは現在、行方不明だ」 冷たくつらい現実を、銀髪の生徒会長カリアンが告げる。その瞬間、レイフォンは言葉にできない複雑な想いにかられた。その間にも夥しい数の汚染獣がツェルニに向かって、愚直なまでの一直線で向かってくる。誰かが言った。相応しい使い手を持たない名剣は、錆びたナイフとなんら変わらない-と。

一方、意を決してグレンダンを発ったリーリンは途中で立ち寄った学園都市・マイアスで奇妙な事件に巻き込まれる。そこで彼女が出会ったのは-。」


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超久しぶりの鋼殻のレギオス。なんと1年ぶりに紹介ですよ…。もう本編終わっちゃいましたね。まさかこんなに早く終わるとは…。5巻までが第1部という感覚でひとまずワンクッション置いたわけですけど、ワンクッション置きすぎたなぁ~~~。とにもかくにもココから第2部という感じでしょうか。タイトルは今回から「色」関係になっていきます。ちなみに次回作は「ホワイト・オペラ」になります。「赤」「白」ときてどんな色が登場するか楽しみにしていてください。


本書は第2部導入とあってかなり話が飛んでいます。何というか、壮大になるフラグがプンプンする展開が多かったように思うんです。行方不明になっているニーナ捜索と汚染獣の戦い。一方でリーリンとその護衛を仰せつかったサヴァリス、2人の道中も描かねばならないと二つのグループの間を行ったり来たりしている印象。その中で何故か行方不明の筈のニーナがリーリンのいる都市に登場する。「え?ツェルニと大分離れてない?距離??」と読者の中で大きな「?」が浮かぶわけです。


ニーナと話していると「リーリンがいたから自分が確定された」とわけのわからない事を言いはじめる。あれ?ニーナはいつからこんな電波キャラになったんだと心配しか出来なくなる。しかもニーナはある目的のためにリーリンがいる都市、マイアスにいるみたいで、汚染獣とはまた違う脅威である「狼面衆」という組織と戦っている。


この狼面衆との戦いのさなかに「リグザリオ」だとか「イグナシス」「オーロラ・フィールド」という聞きなれない単語が次々と登場してくる。ここまで来ると「あれ?自分何か読み飛ばしてしまっただろうか」と不安に駆られてくる。しかし、あとがきを読むと、雨木さん自身がドラマガに掲載した短編を読まないと前後関係が分からなくなると言っていたので、この不安はある意味正しいと言えば正しいし、雨木さんからすれば、もう「でも、その反応待ってました!」という感じなのだろうか。

あとあと「短編集」とかなんとかで出すと言われていたのだが、それがなんと「鋼殻のレギオス10」になるとは…。すぐではないという所に驚きました。


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レイフォンもまた自分のせいでニーナがいなくなったのではないかと自責の念に駆られる。レイフォンは何か一つ自分のせいにしないと気が済まないのか…むむむ。ヘタレ主人公もここまで来ると大分のものだ。


レイフォンのヘタレをよそに普通ならば汚染獣を避けて通る学園都市は汚染獣の中に突っ込んでいく。つまり、簡単に言えば暴走状態に陥っているわけである。その中で、連戦がたたり、フェリも倒れてしまう。もうどうしようもない絶望的な情報化のさなかに、一匹の汚染獣が登場する。しかも、そいつは「人の言葉を話せる」ものだった。


汚染獣ってただの化け物かと思ったら、知性を持っている奴もいるみたいで、自らを「クラウドセル・分離マザーⅣ・ハルペー」と名乗ったので、きっと「誰か」が作ったというのが正しいのでしょうか。つまり、このような世界になる前に、「人間」が何かしらをしていた…と。ではなぜ、人間は自らを襲うような「汚染獣」を作り上げたのか。謎が残りますね。


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学園都市マイアスにいたニーナは使命を終え、ツェルニに帰還する。しかし、ニーナが戻るとレイフォンはそこに「目的」を求めてしまう。つまり、「依存」してしまうんですよね。ここでニーナとレイフォンの関係しかり、今のレイフォンの問題点が出てくる。つまり「目的」がないということ。


レイフォンが天剣授受者になった理由も、レイフォンが一般科に戻らず武芸科にいるのも何かしらの理由で「誰かに自分の目的を委ねている」からなんです。レイフォンが戦いの理由にしているのもカリスマ性を持つニーナに惹かれ(恋とかそういうんではなく)、彼女に戦う理由を委ねてしまう。生徒会長のカリアンはレイフォンの問題点を見た上で、「それでは駄目だ」というのですが…。こればかりはレイフォンが自分で自分の道を見つけていくしかないからどうしようもないな。


それとリーリンの中に眠る謎の力、それを発揮した直後にマイアスでニーナにあった記憶が欠如するというこれまた謎現象が発生したわけですが、これも今後の伏線か?


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さて、来年レギオスを紹介していくならば、「ホワイト・オペラ」に行くのが順当。しかし、ここはあえて「レジェンド・オブ・レギオスⅠ」を紹介したいと思います。本編を離れますよ。一回。


ニーナが言っていた、ディックという青年もどこかで紹介したいね~。それには「聖戦のレギオス」を読まなきゃなんだよなぁ~。



それでは、次回。