物理では,エネルギー金額にたとえられることがよくあります。

力学でもそうですし,熱力学でもそうです。

エネルギーとは目に見えないものですから,
イメージするのは難しいところかもしれません。

そこで,「エネルギーの原理」を物理の問題に適用するとき,
うまくイメージできるようなメタファがありますので,
知っておくと役に立つ話を紹介しようと思います。

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まず,エネルギーの原理の式を確認しましょう。

 (運動エネルギーの変化量) = (物体がされた仕事)

ですね。

この左辺を,もうちょっと詳しく書いておくと,

 (変化後の運動エネルギー) - (変化前の運動エネルギー)

なので,エネルギーの原理を,式変形してやると,

 (変化前の運エネ) + (された仕事) = (変化後の運エネ)

という形になるのですね。

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さて,ここで運動エネルギーを金額にたとえるとどうなるでしょう!?

仕事はエネルギーと同じ次元なので,仕事も金額にたとえちゃいます。

では,金額にたとえてみると,↓のようになります。

 (変化前の金額) + (された金額) = (変化後の金額)

変な言葉になっているので,わかる言葉に直すと,

 (変化前の金額) + (収支) = (変化後の金額)

この式を見て,イメージできるようになったのではないでしょうか。

物体がされる仕事には「正」と「負」がありますので,
これを金額にたとえるならが,「収入」と「支出」です。

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具体的に使ってみましょう。

皆さんのサイフに5000円入っている状態で,
本屋で600円の雑誌を買いました。
手元には4400円残りました。

この場合,元々サイフに入っていた5000円が「変化前の金額」,
本屋で支払った600円が「支出」,
手元に残った4400円が「変化前の金額」ですね!!

今度は,本屋から帰って来たら,
父親が今月の小遣い5000円を包んでくれたので,
サイフの中が9600円に豊かになった。

この場合,4400円が「変化前の金額」,
小遣い5000円が「収入」,
豊かになった手元の9600円が「変化後の金額」ということです。

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力学の話に戻ります。

なめらかな斜面を速さKPP2010 で通過した地点から,
KPP2010 だけ低い地点を速さKPP2010 で通過した質量KPP2010 の物体について,
エネルギーの原理の式を立ててみましょう。

「変化前の運動エネルギー」はKPP2010
「された仕事」は,重力によってされた仕事KPP2010
「変化後の運動エネルギー」はKPP2010 です。

だから,エネルギーの原理の式は,

 KPP2010

となりますね。

金額のメタファを使わずに,
いきなりエネルギーの原理の式を立てる人は,

 KPP2010

という式を立てるでしょうが,
メタファ使って立てた式と同じ式になります。

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この金額のメタファは,熱力学の分野でも通用します。
「熱力学第1法則」に対してです。

それはまた今度アップしておきます。