誰もいないから今のうちにと時をかけてみた話 | 毛糸日和
一夜限りの妖狐ママ復活回。

妖孤ママ


時期的には、鬼の封印を解く数日前。
丁度、シャルロッテと本音でぶつかって生きる覚悟を決め、
ルイと出会って、娘と、娘の友人やこの世界の事をもっと知りたいと強く思う様になり、
卍の前で薔薇ジュースを飲んで醜態を晒したその翌日の事。

妙河や目目連が尾行しても、ふいに気配と姿が消えてしまうと申していましたが、
そんな時、妖狐ママはこんな風に別の時代に迷い込んでいたのでした。

もしあの日、時狭間を訪れたのが
表へ出たばかり頃の、全てに絶望していた妖狐ママだったならば、
望んで己の死を受け入れ。
娘をただ夫に託し。
けれど一目でも娘の元気な姿を見れる可能性があるならば、
縋って頼んだ事でしょう。

けれど、
時や人、自分の思いの狭間で揺れ動きながら、短くも濃いひと時を生きていたあの時の妖狐ママは、
生きる事を渇望し。
怖れずに娘と向き合う覚悟を決め。
未来に希望しか持っていなかった。

だから、
未来から来た(実際は自分が過去から来たのだけど)卍に何を聞かされようと揺るがなかった。
それどころか、内心は、聞かされた未来を変えてやろうと息巻いていたのでした。
それこそ大層な自惚れに他ならぬので、口にさえ出さなかったけれど。
最後にうっかり「また盃を交わそう」と未来の卍に対して言ってしまったのは
本当にうっかりなのだけど、そんな思い故でした。


その数日後。
その昔、狂鬼に敗れ、絶望の中で死んだ妖狐ママは、
新たに出会った鬼と友と共に戦い、狂鬼の最期を見届けて。
最期まで希望を持ち続けたまま、「離すなよ。」と言われた娘をー「二度と離さぬ」と決めた娘を、その腕に抱いた。

そして娘へ最期の(且つ、この先も決して変わらぬ)言葉と思いを残して、魂の元へと還ったのでありました。

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もしも、平行世界が存在して、
全てが上手く行く未来があったなら、其れに勝るものはないのでしょう。

けれど、ほんの限られた時間でも、
シャルロッテちゃんと、
卍さんと、
ルイちゃんと過ごせた時が有ったからこそ、
鬼を封ずる者でしか無かった妖狐ママは、
ささがきさんとして。
白釉さんとして。
一人の母として、
希望の中で生きる事が出来ました。

ありがとうございました!