11/7,8,9昼夜,10昼夜の6回観劇(味方良介目当て)
当初予定されていた舞台「マグダラなマリア」が、「湯澤幸一郎氏の個人的な事情による降板」によって中止となり、同日同会場での代替公演として企画された舞台。
脚本・演出は当初グレイス役で出演のみの予定であった津田健次郎。
演出補に井関佳子、美術は小林奈月、音楽は楠瀬拓哉が担当となっている。
(11/14から東京公演だが、ネタバレを含む感想になっているため未見の方は注意)
結論から言えば、準備期間が約3週間という短期間にも関わらず、とても素晴らしい舞台だった。
荒削りながら強い意思を感じる力強いストーリーは、この舞台の背景と重ね合わせることを前提とした作り。
伏線もしっかり張られていて、オチを知った上で二度三度楽しめる。
マグダラシリーズ定番の下ネタも健在で、美少女設定の女装したイケメン俳優に
「家がないのは大変よね…シュガーレスって言うんでしょ?」
「それは違うね」
「冗談よ、セックスレスでしょ?」
「遠くなったわ下ネタだわ!」
なんて言わせちゃう大胆さ!
舞台上のストーリーと同じように、短い期間でそれぞれの得意分野を集めて作ったことが感じられる。
フリッツ(大山真志)のタップダンスや、フレディ・ブランメル(進藤学)のアルゼンチンタンゴなど…
キャラクターも役者本人と近い空気を持った役が多く見えた。
味方良介演じるマルコについて語ると、どうしても完全にネタバレになってしまうのだが…
マルコは不器用な手品師として劇場に居ながらも、本当は劇場の天井に描かれた天使という役どころ。
天使なのにしょっちゅうヤンキー座りしてたり(肩に乗せた手品用ステッキが完全に鉄パイプに見える…w)
いつも何だか遠くを見ていて、人の邪魔になっていても全く気付かなかったり…
口調もぶっきらぼうで無自覚に偉そうで、でも全く悪気はない感じがすごく役者本人に似ていて、本人も演じやすそうに見えた。
小学生のように無邪気で、なのに何でも知っている天使(100歳)という人外な役柄が、こんなにハマるのは何故なのか…!
マルコソロ曲はマジックショータイムの曲だが、曲調は完全に昭和のアイドル歌謡といった感じ。
恐らく今までの味方のソロ曲には無かったような高音域の曲だけど、ピッタリハマっている。
語尾をしゃくる感じが色っぽくてとてもアイドルっぽい。
投げキッスも出血大サービスで本当に楽しそうでなにより!
マルコ以外も、どのキャラクターも魅力的で素晴らしかった。
掃除婦のサラ(藤岡正明)は大人の可愛らしさがある素敵な女性(役者は全員男性だが)。
歌は流石の上手さ!ラストの曲は本当に感動した。
ずっとマルコに片想いしているアマンダ(三津谷亮)は、背伸びした少女だが、フレディに導かれ、一緒に踊ることで成長していく。
フレディとアマンダの影絵のようなダンスシーンの美しさは鳥肌が立つほど。
三津谷が一輪車で培った指先の美しさが存分に発揮されている。
そしてマグダラから引き継がれたキャラクターの1人であるアンナ・エーデルマン(太田基裕)の美しさ!
金髪のまとめ髪といい立ち姿といいバレエダンサーのようだった。
元軍人のアンナは「自分は心を失っている」と感じているが、内気な少女ニコラ(染谷俊之)との交流を通じて、自分の心を見つけることになる。
とはいえ、アンナは1人で暴走しがちなキャラクターなのですんなりいくはずもなく…
突然「私はいやらしい女だ!女は誰しも助平なのだ!」と演説しだす暴走っぷり(笑)
そりゃ聞かされてるニコラも泣きたくなるよ…!
ラストシーンで、自分は天使だと告白したマルコが空へと帰る直前に、アマンダはマルコに愛を告白しようとする。
しかしマルコはアマンダがそれを言う前に、
「それは勘違いだ。大人になる前によくある奴だ。ある日なんとも思ってなかった奴が急に夢に出てきて気になって気になってこれって恋なの症候群だ!ビンゴ!」
なんて言って、そのまま空へと帰ってしまうのだ。
それは人間とは結ばれることのない博愛の天使としての優しさなのだろうが、少女に対してはあまりに残酷な言葉だ。
その後、アマンダはハンスからの告白に
「私も好きよ。でも、まずは1人で歩いてみたいの」
と答える。
彼ら・彼女らが、この後一体どんな未来を辿るのか…
それが語られる日が来ることを切に願う。
