朝鮮労働党創立75周年慶祝閲兵式の参加部隊・指揮官・装備(歩兵縦隊編) | 北朝鮮の軍事情勢をウオッチしよう

北朝鮮の軍事情勢をウオッチしよう

主に北朝鮮の軍事情勢や装備などを考察・解説するブログです。

著:Tarao Goo(閲兵式のアナウンス聞き取り:zr氏)

 

始めに

今年の10月10日に平壌で実施された閲兵式は驚きの連続でした。実際のところ、驚くというよりも新情報の量があまりにも多すぎて脳の処理能力がオーバーしてしまったというのが実情です。

私は2006年頃からリアルタイムで北朝鮮の閲兵式をウォッチしてきましたが、これほどにまで衝撃を受けたものはありませんでした。

私が何に驚いたのかといいますと、

  • 圧倒的な数の新型装備が登場

したこともありますが、閲兵部隊全体を通して、

  1. 旧態依然とした装備がほぼ一掃されたこと
  2. 一見して現代的な装備で占められていたこと
  3. ほぼ全ての兵士がデジタル迷彩やマルチカムを着用
  4. 部隊名の改称があったこと(訓練所→機械化歩兵師団)

が主なものとなります。

これほどまで様相を一変させた閲兵式は初めてのことなので困惑していますが、今回のものは朝鮮人民軍の将来像(方向性)を示したものだったと推測しています。

この記事では、この閲兵式に登場した部隊とその指揮官(主に軍団長クラス)、装備を紹介していきます。装備だけでなく指揮官名にも注目するとウォッチしていく上では面白いかもしれません。
膨大なボリュームのため、この記事では閲兵部隊について歩兵縦隊と機械化縦隊の二つに分割してご紹介します(小銃などの装備については別の記事で紹介します)。
※ 指揮官名については、漢字表記が判明しているものに限り併記しました。また、部隊名が不明なものは仮称としております(その場合は必ず仮称と補足しています)
※2 この閲兵式に関する情報はアナンウンスや朝鮮中央通信(KCNA)からの情報を基にしていますが、聯合ニュースなどで補完的な情報が得られた場合はそちらも参考にして記載しております。
 
人民軍最高幹部(序列順)
1 朝鮮労働党中央委員会政治局常務委員会委員 兼 党中央軍事委員会副委員長(党中央委員会副委員長) リ・ビョンチョル(李炳哲)元帥  (元航空軍司令官、元党中央委員会軍需工業部第一副部長)   
 
2 総政治局長 キム・スギル(金守吉)大将    (元平壌市党委員長・元軍総政治局副局長)
※2021年1月にクォン・ヨンジン(権英進)次帥が総政治局長に就任していることが確認された。

3 総参謀長  パク・ジョンチョン(朴正天)元帥  (元砲兵局長)

 
4 国防相 キム・ジョングァン(金正官)大将  (元人民武力省副相)
※2021年2月に次帥に昇格。

 
5 総参謀部第1副総参謀長兼作戦総局長  パン・ドゥソプ(方斗燮)大将(元第2軍団長)


閲兵部隊(登場順)
1 名誉騎兵縦隊 クァク・ジェヨン(霍才英)少将
 
2 党中央委員会護衛縦隊 ハン・スンチョル(韓順哲)上将          
 
3 国務委員会警衛部縦隊 キム・チョルギュ(金鉄規)上将         
 
4 護衛局縦隊 キム・ヨンホ(金勇浩)中将   
 
5 護衛司令部縦隊 クァク・チャンシク(霍昌植)上将(護衛司令官)
 
6 第1軍団縦隊  パク・スイル(朴秀日)上将  (前第1副総参謀長兼作戦総局長、元第8軍団長)
 
7 第2軍団縦隊 チェ・ドゥヨン(崔徳英)上将  
 
8 第4軍団縦隊  パク・グァンジュ(朴光柱)上将 
※ 西南を守っている部隊とのアナウウンスあり    

9 第5軍団縦隊 リ・テソブ(李泰燮)上将 
※ 中部戦線を守る人民軍の中枢部隊とのアナウンスあり

10 海兵縦隊(海軍) キム・ミョンシク(金明植)大将(海軍司令官)
※2021年2月に退任(現在の役職は不明)。後継はキム・ソンギル(金成吉)中将。

 
11 戦闘飛行士縦隊(航空及び反航空軍)  キム・グァンヒョク(金光赫)大将(航空軍司令官) 
※2021年2月に退任(現在の役職は不明)。後継はキム・チュンイル(金忠日)中将。
 
12 戦略軍縦隊 キム・ジョンギル(金政吉)上将(戦略軍司令官)
 
13 特殊作戦軍地上狙撃兵縦隊  キム・ヨンボク(金永福)上将(特殊作戦軍司令官・旧第11軍団長)

 
14 特殊作戦軍海上狙撃兵縦隊  キム・グァンチョル大佐
※ 水中に潜り敵の急所を一撃する...とのアナウンスあり
 
15 特殊作戦軍空中狙撃兵縦隊 ユン・ヒョクチョル大佐

 
16 (特殊作戦軍と思われる)軽歩兵縦隊 キム・ヒョンチョル中将

 
17 名砲手女性高射砲軍団縦隊 ソン・ソゴン中将(ソン・ソクウォンであれば平壌地区高射砲兵軍団の可能性あり)
 
18 首都防御軍団縦隊  チェ・グァンイル中将
 
19 第3軍団縦隊    ウィ・ソンイル(魏成日)上将 (元第1副総参謀長)

 
20 第7軍団縦隊    チェ・チュンギョ(崔春吉)中将 ※2021年現在は少将に降格

 
21 第8軍団縦隊    カン・ヨンス中将
※ 国境関門を守る部隊とのアナウンスあり

22 第9軍団縦隊    ソン・ヨングン中将
※ 北部地帯を守る部隊とのアナウンスあり
 
23 第10軍団縦隊   イ・ヨンチョル(李英哲)中将  
※ 東側関門を守る部隊とのアナウンスあり

24 第12軍団縦隊   リ・ボンチョン(李奉春)中将

25 山岳歩兵縦隊    ウン・ハチョル少将
 
26 戦車(タンク)・装甲部隊縦隊   リ・チョンヨン大佐
 
27 近衛ソウル柳京守第105戦車師団縦隊  コ・ミョンス中将
 
28 第425機械化歩兵師団縦隊  キム・ジョンチョル中将

29 第108機械化歩兵師団縦隊  リ・ギョンチョル中将

30 第815機械化歩兵師団縦隊  ホン・チョルホン中将
 
40 第806機械化歩兵師団縦隊  キム・ハッチョル中将

41 偵察兵縦隊 リム・グァンイル(林光日)大将(偵察総局長)

42 電子錯乱作戦部隊縦隊 オ・ヨンチョル少将

 
43 工兵部隊縦隊 チェ・チョンナム大佐

44 化学兵縦隊 ヨン・ピルソン大佐
 
45 社会安全軍武装機動部隊縦隊 キム・グァンヒョン安全軍中将


 
46 金正日軍政大学縦隊 キム・ミョンナム(金明南)上将(学長・前首都防御司令官)
 
47 金日成軍事総合大学縦隊  ハン・チャンスン上将(学長)

48 金日成政治大学縦隊       キム・ジョンチョル中将

49 金正恩国防総合大学縦隊     カン・スンチョル少将

50 海軍大学縦隊 キム・ジョンソク海軍少将

51 航空軍大学縦隊 シン・ジェウル空軍中将

52 名称不明の大学縦隊(保衛戦士?たちが育つ大学とのアナウンスがあるので保衛大学の可能性) チョ・ジョンホ大佐
 
53 姜健総合軍官学校縦隊 チョ・ロンチョン中将

54 砲兵総合軍官学校縦隊 サ・コンイル少将

55 高射砲兵軍官学校縦隊 ハン・ヨンボム少将
 
56 タンク・自動車兵軍官学校縦隊 リュ・ウンチョル少将

 
57 警備大学縦隊 サ・イリョン少将

 
58 社会安全軍大学縦隊 ハン・ギョンウル安全軍大佐

 
59 万景台革命学園縦隊 チェ・チュンシク上佐

60 康盤石革命学院縦隊 リ・ウンリョン少将

61 南浦革命学園縦隊 チェ・ハクチョル少佐

62 労農赤衛軍縦隊  (司令官名なし)

63 赤い青年近衛隊縦隊  (司令官名なし)

 
64 航空軍部隊によるフライパス(詳細は別記事で解説予定)
(戦車などの機械化部隊については次の記事で紹介します)