「MGSPW」音楽ライナーノーツ Vol.03 | 「コジブロ」コナミ小島プロダクション公式ウェブログPowered by Ameba

「MGSPW」音楽ライナーノーツ Vol.03

村岡 うお座 です。

「MGSPW」音楽制作の現場を探る、ライナーノーツ第3回です。

「メタルギア」シリーズのゲームBGMは大まかに4種類に分けられます。

・潜入時の抑制された緊迫感を演出する「潜入BGM
・敵兵士に見つかって戦闘が始まると流れる「アクションBGM
・敵兵士から逃げきるが、警戒が続いているシーンで流れる「警戒BGM
・ボス戦を彩るハイテンションな「ボスBGM


他にも各種イベントやデモシーン等で様々な曲が流れますが、プレイヤーは基本的に上記4種類の曲を繰り返し聴きながらゲームを進めていく事になります。

「MGSPW」の場合は中米のジャングルや山岳地帯の雰囲気を出すために、「潜入BGM」は少なく、代わりに環境音(ジャングルの鳥の鳴き声や、山岳地帯の風の音など)が多用しました。

そして敵と遭遇し、戦闘が始まると「アクションBGM」や「ボスBGM」が鳴り出します。

たとえば、こんな場面ですね。

【対戦闘ヘリ戦】


これらの戦闘シーンの曲の特徴は、使われているコードが少ない事です。
通常、ロックやポップスでは沢山のコードを使い、多彩なコード進行で複雑な感情表現をします。
しかし、「メタルギア」シリーズの戦闘シーン曲は、1つか2つのコードで曲が成立している事が多いのです。

理由としては、

プレイヤーの置かれた状況はインタラクティブに変化する(攻撃したり、被弾したり、隠れたり)ので、複雑なコード進行を用いて感情表現をしてしまうとプレイ状況との間にギャップが生じ、逃げている時に勇ましい攻撃的なフレーズが流れたりするチグハグが頻繁に起きます。

これを回避する為に、感情的な抑揚の少ないシンプルなコード進行を使い、どのようなプレイ状況でも違和感を感じさせないようにしているという訳です。


しかし、ただシンプルなだけでは、曲は退屈なものになってしまいます。

シンプルなコード進行の中でも、様々なフレーズやリズムを駆使して、戦闘シーンのテンションを表現し、プレイヤーを煽るのが、コンポーザーの腕の見せ所です。

サウンドトラックCDで音楽だけを聴くと、1曲の中に様々なアイデアが込められている事がよく判ります。

殆どMIDIを使用した打ち込みサウンドですが、ライブな躍動感を感じさせるのはコンポーザー達の技ですねぇ・・・、
感心します。


こんな風に「アクションBGM」や「ボスBGM」は作られますが、ゲームの終盤になると例外が随所に現れます。

戦闘中にボーカル曲が流れたり、オープニング曲が流れたり・・・。

ストーリーが盛り上がり、主人公キャラクターに悲壮感が現れ出すと、BGMも感情的な抑揚を持つ曲が違和感なく馴染むようになってきます。


「MGSPW」の音楽、「え?ここでこんな曲が・・・」というのも楽しみの一つになっていると思います。

皆さん、意外な選曲はありましたか?