先生方の中には、御自身の教育理念というものに格別な思い入れのある方がおられます。
先生の老若男女を問わず、非常に拘っておいでなのはまことに結構なのですが、中には首を傾げたくなるようなお考えの持ち主がおられるのです。
「私は、生徒に勉強を強制しても成績は絶対に上がらないという考えを持っているので、宿題は出したくありません」
これは、先日ある先生から頂いた引き継ぎ用紙に書かれていた連絡事項の一文です。
この先生は、非常にお若くして御自身の信念とも云うべき教育哲学を述べておられるのですが、失礼ながら私は思わず失笑してしまったのです。
「教室に来るという選択肢を、強制されずに選んだ生徒がいるのだろうか?」
この付加疑問文が私の解答です。
私は批判を怖れず、敢えて根源的な原則論を述べたいと思います。
大人は子供を自立に導く教育を受けるよう、子供に強制する義務があります。
子供は大人になるまで、自己と他者の生命に関する責任を負えない存在だからです。
そう、子供は生かされているに過ぎません。
つまり、生きている事、そのものがすでに「強制」されているのですよ。