ハリウッド進出(←なんか田舎臭い表現だ)後、いまいち良質の作品にめぐり合えない感もあるジェット・リーの最新アクション・クライム・スリラーは仏・米・英・香港の合資映画。一足先に公開された仏版の原題は「Danny the Dog 」、米国公開名は「Unleashed」で、邦題は「ダニー・ザ・ドッグ」となるんだそう。
極悪非道なヤクザのおじさんバートに動物同然に育てられたダニーは、普段は気弱で従順。成人しても未だに檻の中に幽閉され暮らす毎日。だがいったん首輪を外され戦いをけしかけられると、無敵の強さを誇るヤクザの鉄砲玉だった。そんなある日、倉庫の中で偶然遭遇した盲目のピアノ調律師サムから音楽の美しさを教えられる。のちに傷つき倒れたところをサムに救われ、娘のビクトリアの手によって徐々にダニーの心は人間らしさを取り戻していくのだが…
バート役にはイギリス出身の名優ボブ・ホスキンス(←「フェリシアの旅 」が今でも印象的)、サム役にはベテランのモーガン・フリーマン、と主要な脇をしっかり固めるキャスティング。英語の台詞回しが苦手な外国生まれのアクション俳優をいかに映画にフィットさせるか、という命題はシュワルツネッガーの時代から続く課題ですが、今回は"教育をまともに受けてない"という設定で乗り切ろうと言う戦略。その部分にはあまり無理は感じませんでした。が、いささか無理を感じたのは全体の構成で、今時そりゃーないだろう、という無理やりなセットアップの脚本を執筆したのは、プロデューサも兼務のリュック・ベッソン(正直、実績の無い新人がコレを提出したら配給会社から一蹴されそうな気がするのだ)。
「ザ・ワン
」では、自分と戦う自分、という難しい設定の上で、パワーでぐいぐい押す力技派キャラと、動きで翻弄する技巧派キャラの二通りを演じ分け、今回は荒削りで粗野な喧嘩殺法を基本に置く動きを見せてくれるなど、相変わらず一段上のジェット・リー流アクションは健在。ブラック・ムービーの流れに乗せて娯楽大作を狙った「ブラック・ダイヤモンド
」や「ロミオ・マスト・ダイ
」は映画としてイマイチでしたが、考えてみれば米国映画デビュー以降アクション・シークエンスに限ってみれば今まで外しは無い気がするのだ。悪徳プロデューサーに捕まり、一番おいしい時期を丸々ぼうにふったジャン・クロード・バンダム某ベルギー出身のアクション俳優のような不幸な先例があったせいか、ジェット・リーは単なるアクションをこなす外人役者ではなく、口うるさく脚本や設定に"注文"を出してるらしい(本作ではプロデューサとしてもクレジットされている)。これから先も彼のアクションを楽しみたいと思っている自分は、今後も注意深く自分のキャリアの舵取りをしていって欲しいと切に願うのでした。
制作費45億とハリウッド作品としては中くらいの規模の作品で、公開3週目で8位22億とやや苦戦中。期待を大きく上回る感動を得る事はないかもしれませんが、よく練られたアクションを楽しむ作品としては、まずまず楽しめたような気がしました。
IMDb: Unleashed
Official Site: Unleashed
