苦しみの再開

 2008年2月17日から地獄に落ちて

裁判という先のわからぬ日々を過ごした8年間

刑事事件から民事事件それが終わっても被害者遺族や被害当事者には終わりがないことを感じる

2023年の初夏頃、飲酒運転の運転手である加害者が仮釈放されるかもしれないと連絡がくる。

わかっていたはずだがやはり心がざわつく。


  加害者と被害者

 被害者も加害者も同じ事件の当事者である。

加害者の刑務所は日本の中で食べ物が美味しいと言われた所だった。

それでもきっと加害者なりの苦しみはあったのであろう。

ただ刑を終えたからといって本当に更生が完了したのかと思う、被害者は苦しみは一生終わらないのに。

同じ日から全く知らないものと対峙してきた。

  新たなる制度 心情等伝達制度

 2023年12月1日から心情等伝達制度が矯正局でも始まることとなった。

これは被害者が刑務所にいき警務官に心情を話し書面化する。

刑務所内で書面を加害者の更生にどのように伝えるかなど審議する。

被害者の表情や想いをきいた警務官が直接、加害者へと伝える。

  加害者の言葉

 ここまで冷静に話したものの、犯罪被害者の心理としてはどんな言葉があっても許されることではない。

命が帰ってくるわけでもなく健康な体が戻るわけでもない、それでも加害者が何年かの刑務を経て更生し反省しているのかどうかを見極めるには重要な制度だと感じています。

 私達の加害者の言葉【矯正局】

 私たちの 加害者は、強制局での質問についてはかなり丁寧に対応したと思います。そして私たちからの願いである

①接触しないようにしっかりと住所をわかるようにしてほしい 

②私たちの住む町に近寄らないでほしい

③1年に一度 命日の日には 事故現場に花を供えてほしい

④二度と再犯を犯さないため感謝される人間になってほしい。

(※④については運転すると裁判でも匂わしていたため道路上では当たり前ですが見知らぬ相手に思いやりを持たないといけないと感じたからです)

上記について矯正局では納得してもらえました。納得してもらえました。

ところが仮釈放され保護局に移ると明らかに態度を激変させてきました。

とくに私達の願いは子どもたちを守ること。

そのために加害者(自宅からあまりに近いため)の住所には近づきたくないという思いがあったのです。

それを拒否するようなことを言っていたのです。もう信頼は全く無くなりました。

更生とは何だったのか?と家族で泣きながら怒りをあらわにし苦しみました。


写真①
心情等聴取伝達制度の仕組みのイメージ


写真②
駅から刑務所までに乗った車。
要望出来れば今後は加害者が乗った可能性のある護送車ではない一般的な車に変えてほしい。

写真③
加害者が最初に仮釈放された地、東京法務省内にある東京保護観察所への道

  被害者通知制度の申請は裁判直後から始まる

 最初はどんなことが知ることができるかと、さほど理解はしていないもののそれでも加害者の状況を知るために、被害者への通知制度の申し込みをしたのを覚えています。

 裁判で判決の直後なので、はっきり言って精神的には心が動揺し納得もいかない、そんな状況で通知制度を受け取るのか受け取らないかを決めなくてはなりませんでした。

現在では、弁護士さんを通して判決より約1週間後にやり取りをするというやり方もありますので 十分に検討しこの制度使うか、私たち 当事者が検討していく必要があります。

メリットは加害者の刑務内容やご段階での状況(ほとんど状況はわかりません)や仮釈放の有無や一定度の時期などを知ることができる

デメリットは嫌でも加害者の名前を見る事です。関わりたくない方は断るの勇気も必要です。

重要なポイント

ただし被害者にとって加害者の状況を知ること特に仮釈放や釈放されるということについては、非常に精神的な負担になるため事前に情報を知ることで、一定度の心や家族を守ることにもつながるのではないかと私は感じています。

検察庁からの説明の重要性

 今後検察庁からはよりしっかりと心情等伝達制度について説明をする、または後日でもいいので通知制度について理解ができる状況で被害者へと説明することが必要だと感じています。

  保護局での心情等聴取伝達制度

 これまで 心情等伝達制度は保護局において 加害者と被害者の公的な場でのやり取りとして安全で意義のある制度であると私は感じていました。

私たち家族は今回の伝達制度で2回目の利用となりますが、前回と変わった部分について感じたことを書きます。

制度運用から一定度の時間が経ち被害者の心情について理解がされるようになったことです。

2次被害防止は何より優先てきな課題でしたからこれはクリアしたのではないかと感じたほどです。

保護局の制度の仕組み

被害者には被害者側の保護観察官と被害者側保護士がつきます、 加害者には加害者保護観察官と加害者側保護司が付きます。

 被害者の書面を作り被害者保護観察官から加害者側保護観察官に渡します。

これに対し 加害者は加害者 保護観察官と加害者 保護士とともに 被害者へ 書面で伝達をするという制度です。

※重要

この程度は仮釈放期間内から満期までの間に使えるものです。 交通事案に関しては制度を使える時間が非常に短く、約3ヶ月から半年ぐらいが多いと伺っています。

なので 仮釈放がされた瞬間に申し込み、制度を使うそれでも約2往復ぐらいになるのではないかと思います。


  加害者側保護観察官が行う被害者への2次被害

 被害者に対して口頭での二次被害を与えないなどの工夫がされていたと感じました。約5年前は加害者よりの制度が被害者に寄り添っているものだと感じました感じました。


1回目から5年以上が経ち、様々な保護観察官が加害者側も被害者側も担当した方が増えてきたように感じました。

その中で感じたのは以前の伝達制度では保護観察官同士の間で一定度、被害者の状況や加害者の状況のやり取りなどが行われていたことが、時間が経ち現行制度ではほとんどやり取りが行われておらず、書面でのやり取りに過ぎないのではないかと感じました。

このことにより加害者の状況や表情または生活状況などが書面でしかわからず、 全く説明のないまま私たちの意見とは全く違う言葉を使われたり、または加害者側保護観察官や加害者側保護司の考えから被害者をより侮辱的な言葉で間違えた思いやりで言葉を使っているように数名の被害者遺族から聞くことができました。

  加害者の言葉を加工した書面

 私達も、例外ではありませんでした。

加害者が到底使うはずもないような丁寧な言葉で加害者側の保護観察官が私たちの願いを無理やり取り下げようと努力したことです。

これについては妹の願いであり、非常に センシティブな問題ですので、加害者に一番考えてほしいということから、今の現状で内容をお話しすることは控えさせていただきます。

 私たちにとっては非常に意義のあるものだと感じています。


  加害者それぞれの限界と保護観察官の支援

 私は以前 ケーキの切れない少年たち という本を読みました。その際に グレーゾーンの方の入所は刑務所の中では多いようです。

これは以前私自身が勉強し映像などから感じたことですが 簡単な漢字でも必ずルビが書いてあることに違和感を感じていましたが どのような方であってもその状況や 漢字 その意味 を適切に理解できるようにルビを振っているのだと 知りました。

このようなことから当然ではありますが 精神疾患とまではいかないものの、グレーゾーンの方も大変多く本人の見解や本人の理解の限界もあるとしりました。

  戸惑い

 加害者から来た手紙を裁判後に見たことがあります。

今回の保護観察官と書いた書面は文章の丁寧さが明らかに違いますし、こんなひねった断り方ができるのか?

このように明らかに加害者の言動を超えるような内容が来たら、被害者は戸惑いしかありません。


大きな疑問が私には残りましたないのかと 大きな疑問が私には残りました。

本人の言葉や 限界の中でこんなに 丁寧な言葉を使えるだろうか?またはこんなに思いやりのあるような言葉を使って否定をするだろうか?明らかに加工した言葉がむしろ私達には2次被害の何物でもありませんでした。


 加害者の言葉そのままで、心情と伝達制度を使ってほしいと考えたのは、今回が初めてでした。

加害者だけではなく加害者の保護観察官や保護士に対しても憤りを感じました。

丁寧に伝えることが決して被害者にとっていいものではなく、どんなに乱暴な言葉であってもそのままの言葉を伝えるということ、または状況を書くということが、実は非常に重要なのではないかと私たちは感じたのです。

 これについては私だけではなく私以外のご遺族や当事者またとある保護観察官や保護司さんなどにもこのような状況が決して被害者の方にとって良くないのではと疑問に思ってる方は多いと伺いました。


  知ってほしい願い

制度については 被害者側 または 加害者側と分け隔てることなく 両方が十分に運用をできるようになったからこそ 新たなる課題が出てきたのだと私は感じています。 新たなる課題が出てきたのだと私は感じています。

被害者の事を思ってのことですから、当然、私たちの心を傷つけることがないようにしようと思った結果が、むしろ逆効果になっているということを、多くの保護観察官や保護者さんに知ってほしいです。

 それは私自身が 保護観察館や保護師さんへの講演などから小さな会話の中から感じたり または あいの会へのお問い合わせで 実はこのようなことに困っているという 匿名でのお電話をいただいたことがあるからです 。


  今できる最善策

 今できる最善策としては最低限、被害者側と加害者側の担当の保護観察官と保護司さんがそれぞれに意見を聞く際には同席する必要があると思っています。

 この提案については、早急にできることだと思います、少しの制度内の補填ですがこの担当者それぞれの理解が、被害者の心のケアにもつながりまた加害者の更生にもつながる1つの解決策と考えるのぜひとも実施していただきたいと考えます。


  感謝

 前回 関わってくださった皆様そして今回も関わってくださっている保護観察館保護士の皆様にはそれぞれ感謝をしております。現在まだ制度は使ってる最中ですので、全ての意見を伝えるということは不可能ではありますが、加害者側についてはもしかしたら不快に思った方もいるかもしれません、ですがあくまでも被害者の視点で伝えられることの重要性を鑑みました。これは決して自分の主軸として考えたものではなく多くの方の意見をもとに作られた意見であることを知っていただき関係者の方には、この制度の再度構成を検討していただきたいと思います。


また 強制局においては非常にシンプルなやり方で1名の刑務官が担当するという性質が実は一番シンプルではあるものの重要な やり方なのではないかと思います。

被害者と加害者側をわけている保護局も、矯正局の制度は十分に使えるだけの被害者への理解はされていると思います。

 新たなる矯正局の制度の良いところを軸として、是非とも私たちの小さな声ではありますが意見を聞いていただきたいと思います。


  皆様へ

 この度 小沢家の心情等聴取伝達制度について関わってくださった報道関係の皆様には、非常に時間がかかりまた強風のなか丁寧な取材やホッカイロの差し入れ、体だけではなく心もあたたまりました。

カメラマンの方にもこころから言葉や報道と言う立場から丁寧に共に考えてもらい見る方にどう伝えたらいいかを模索して頂き感謝しています(=^・・^=)

そして報道通じて多くの被害者の皆様から様々な意見をいただきました。


 心情等聴取伝達制度を使えなかった方からのお声として、「この制度を使ってみたかった」これからの使えるご遺族からは「制度が分かりにくかったのでぜひ聞きながら使ってみたい」

そして現役の検察官などからも「通知制度について 丁寧に伝えていきたい」など 、弁護士さんからは「この制度について被害者だけが取り組むのではなく、弁護士という立場からもできることがあるのではないか」など多くのご意見をいただけました 。

報道という一つの作品を通して遺族の想いや改善点を見出してくださった 制作に関わってくださった皆様に心より感謝を申し上げます。


あいの会としても、また小沢家としても今後とも地道ではありますが、一歩ずつこの先のご遺族や当事者の方がこの制度を使いやすいと思っていただけるように説明や自分たちの経験から伝えることができるように努力していきたいと思います。