　有楽町界隈へは毎月のように行っていたのに、東京国際フォーラム内にずっと前からこの美術館があったとは知りませんでした＝聞いたかもしれないけど、「ちょっと説教臭いような詩を、ヘタウマ文字で書く人」程度の認識だったので、記憶しなかったのかもしれません。

　ところが「限定」に弱い私、1月28日で閉館すると知って急に行ってみたくなりました。で、ちょうど都心へ行く用事があったので、行ってみたら・・・。

何でもっと早く来なかったのか

と激しく後悔しました。この方、ものすごく苦労したとは思いません。大正１３（1924）年に生まれたことを考えると、もっと悲惨な人生を送った人はいくらでもいたでしょう。それに比べたら、なかなか芽が出なかったにせよ、それは長い期間ではなく、好きなことが世に認められて幸せだったといえます。

　でもこの人が作る詩は、こうして年齢を重ねた今だからこそ、どれほど人生や世の真理に迫っているかがわかります。だから万人の胸を打つのです。

　「苦労したから人格が磨かれる」とは言い切れず、「少しの苦労でも、感受性と人格の高い人は大きな学びを得る」のだなと思いました。こんな素晴らしい作品ばかりだったなら、何回も来るんだった。

心に残った作品はいくつもあったけど、

「樹木がえらいのは冬、風雪に黙って耐えている、しかし樹木は冬が最も楽しい、やがて来る春の夢を胸いっぱいに抱いているから」が特に印象深い一つです。

　私は5月が１年で最も美しいと思っていますが、１番好きなのは自分が生まれた3月です＝陽光は春めいても景色は冬同然なのに。だから理由が今までわからなかったけど、「やがて来る春の夢を胸いっぱいに抱けるから」なのだ、これこそ一番しっくり来る答えだと気づきました。

全く素晴らしいクリエイターであり、思想家でもあります。

とりあえず地元図書館にある作品集を、片っ端から読んでみようと思います。

相田みつを美術館 閉館