【郷さくら美術館】
「村居正之の世界」
—歴史を刻む 悠久の青—
2023年12月2日(土)ー2024年2月25日(日)
行ってきました。
いつもの桜🌸作品はなかったのですが、1階から3階の展示室のすべてが”村居正之の世界”。なかなかの迫力でした。
日本画家・村居正之は、現代日本画壇を代表する作家の一人。
1947年京都府生まれ。
1968年に画塾である青塔社へ入塾、池田遙邨・池田道夫に師事。
1971年には第3回日展に初入選。青塔社展や日展を中心に作品を発表し、早くからその実力が認められました。
現在では日展の理事や日本藝術院会員を務め、大阪芸術大学、金沢美術工芸大学では後進の指導に力を注いでいます。
この展覧会は、”村居正之”が1992年から現在まで約30年にわたって制作してきた「ギリシャ・シリーズ」です。
天然の岩絵具の中でも特に群青色に魅了され、独自の深みのある青色を表現し、「青い墨絵」と評されています。
いくつか印象に残った作品です
※画像は撮影OK作品から。作品内容は公式HPなどを参考にしています。
展示室は、1階→3階→2階と続きます。
〖1階〗
⇩《月照》2016年 村居正之
↑日本藝術院賞・恩賜賞を受賞した作品。
パルテノン神殿。左上からの月の光で影までも表現されています
⇩《燿く夜》2002年 村居正之
↑イタリア・シチリア島の遺跡を描く。幅4m50cmの超大作。
面相筆という人形の顔を描くのに用いられる細筆で制作され、3か月余りを費やしたそう。作家は、完成した時には二度とこういう仕事はしないとすら思ったという作品だそうです。
⇩《刻》1999年 村居正之
↑夕陽に浮かぶ神殿の景色も美しい~
青だけではない色彩にも感動です。
⇩《アクロポリスの月》2005年 村居正之
↑夜空を背景に立ち尽くす風化寸前のアテネ、アクロポリスの建物が、神秘的な月の光に照らされて浮かんでいるよう。
この色彩の作品は複数ありましたが、よりいっそう”悠久の歴史”を感じさせる作品です。
~展示風景~
⇩《映》2012年 村居正之
↑水たまりに映った遺跡。
⇩《悠》2021年 村居正之
↑ギリシャ彫刻の美しさ。
⇩教会への道(デッサン)
いくつかデッサンも並んでいました。
”あお”といっても、色々な青。
青、藍、蒼、碧、空色・・・。
青色って奥が深~い🤔
〖3階〗
⇩《白い教会》1992年 村居正之
↑ギリシャ・サントリーニ島のフィラの町。
ギリシャの青空と白亜の建造物のコントラストは、強烈に印象に残りました
⇩《光》2011年 村居正之
↑制作したこの年に兄賢一が亡くなり、鎮魂の思いで、鐘に名を刻んでいる。
⇩《灯》2002年 村居正之
↑ギリシャ北西部テッサリア地方にある奇岩の上に建てられたメテオラ修道院群の内のルサヌ修道院。
群青色のなかにある、ほんのりした灯は、風景だけではない、人の存在を感じる作品となっている。
冷たく感じる”青”と温かさを感じる”橙”。
⇩《リンドス》1995年 村居正之
↑ひときわ大きな作品。
青い空と海を背景に、山の緑の中にある白い街が映えて美しい
〖2階〗
⇩《昼さがり》1998年 村居正之
↑作家が、ギリシャの町で見かけたカラフルな青赤黄緑色の野外のテーブルと椅子を描いた作品。
!?っと、一瞬、他の作品とひと味違うと感じた作品でした。
⇩《サントリーニ》1993年 村居正之
↑作家が宿泊していたホテルのすぐ近くから見た風景なのだそうです。
ギリシャ文明の遺跡や建築の、昼や夜の風景、色による違いで、悠久の時を感じさせる表現の数々に圧倒されました
特に青の奥深さを感じる展覧会でした。
(2023/12 撮影)