【森アーツセンターギャラリー】
「キース・へリング展」
2023年12月9日(土)ー2024年2月25日(日)
行ってきました
明るく、ポップなイメージで、そこにさりげなく社会性のあるメッセージを含ませるという印象の作品~
私、そのぐらいの事しか知らず
彼の人生がどんなだったか、創作活動期間が10年程だったこと、そしてエイズによる合併症により31歳で死去。短い生涯だったこと、初めて知りました。
キース・ヘリング
(Keith Haring、1958年5月4日 - 1990年2月16日)
たまに作品を目にする機会はあるものの、国内での”キース・へリング”の展覧会は、約20年ぶりなのだそうです。
※画像は撮影OK作品。作品内容は公式HPやキャプションなどを参考にしています。
展示は”キース・へリング”初期の頃から始まりました。
キース・ヘリングは、1958年ペンシルベニア州生まれ。1978年にニューヨークに移り、多様な美術表現を学び、美術館や画廊といった空間から、公共空間でのアートを展開するようになりました。
その頃の姿です。
落書きは違法なので、へリングは2、3分で描き上げたのだそう。
今でこそ発信する場所にSNS等がありますが、この時代、人種や階級、性別、職業に関係なく最も多くの人が利用する地下鉄に注目しました
こうした作品を彼は約5年描き続けます。
1981年、人々の日常の一部として見てもらえるよう、NYの地下鉄構内の空いた広告板に貼られた黒い紙に、チョークで描く『サブウェイ・ドローイング』を開始します。
↓《無題(サブウェイ・ドローイング)》
中村キース・へリング美術館
このシンプルに描かれたイメージは、瞬く間に有名になり、ドローイングは剥されていき、売買までされるようになっていったのだそうです。
NYからこの展覧会のために、日本初公開のサブウェイ・ドローイング5点が出品されています!!
ヘリングにとって、NYは華やいでいる刺激的な場所。HIVの蔓延は、ヘリングにも暗い影を落とします。約10年間という限られた時間に自らのエネルギーを注ぎ込んでいきます。
↓《ピラミッド》1989年
シルクスクリーン、アルミ板(アルマイト)
よーくみると
どの作品も、人が踊ったり、
重なりあい、交わったり、、
”社会”を表わしているようです。。
↓《スリー・リトグラフス》1985年 リトグラフ、紙
↓《無題》1983年 シルクスクリーン、紙
上部に描かれているのは、初期から彼のアイコンである図像「ラディアント・ベイビー(光り輝く赤ん坊)」
↓《無題》1983年 シルクスクリーン、紙
蛍光塗料が用いられ、ブラックライト照明が使われている。この版画シリーズには、エジプトのピラミッドなどシンボルが描かれ、光り輝く妊婦やダンスの動きが描かれていることで、母親たちの強さを讃えているといえるものだそうです。
80年代のニューヨークは、現在以上に犯罪が多発する都市でしたが、それでもクラブ・シーンやストリートアートは盛り上がり、街もカルチャーも人々もパワーに溢れていました
その中から、アンディ・ウォーホルやマドンナ、そしてバスキアの作品も誕生しています。
文化が混ざり合う時代の中で、ヘリングはポップアートだけでなく、舞台芸術や広告、音楽などと関わりながら制作の場を広げていくことになります。
↓《アンディ・マウス》1986年
シルクスクリーン、紙
丸い大きな耳にサングラスが特徴のこのキャラクターは、ミッキーマウスと、ポップアートの代表的作家のアンディ・ウォーホルの融合体。
$$$にまみれた作品は、資本主義に翻弄される私達を嘲笑っているかのようです
↓『スウィート・サタデー・ナイト』のための舞台セット
1985年 アクリル、モスリン布
ひときわ大きな作品。幅6m以上もある大作
黒人歴史月間にNYの芸術劇場で行われたダンス・パフォ―マンスの舞台背景として制作されました。
『スウィート・サタデー・ナイト』は、1985年に上演された黒人のストリートダンスと、社交ダンスの誕生300周年を記念したパフォーマンスでした。
大画面いっぱいに黒い線でダンサーが踊るように描かれています。実際にこの作品の前で、ブレイクダンスが踊られていました
↓《レトロスペクト》1989年 シルクスクリーン、紙
回顧を意味するタイトルがつけられている作品。
へリングがよく描いたトレードマークともいわれる吠える犬、天使や人々など、繰り返し描写されてきたモチーフ24コマです。
キース・ヘリングは大衆にダイレクトにメッセージを伝えるため、ポスターという媒体を使います。
題材は核放棄、反アパルトヘイト、エイズ予防や、性的マイノリティの問題などの社会的なものから、スウォッチなどとのコラボ広告といった商業的なものまで制作しています。
↓《沈黙は死》1989年 シルクスクリーン、紙
社会の無関心に対して警鐘を鳴らすために制作された作品。
エイズ予防啓発のプロジェクトのキャッチコピーから取られ、ピンクの三角形は、ナチス強制収容所で男性の同性愛者に付けられていた逆三角形が元になっているそう。
↓ヒロシマ 平和がいいに決まってる!!
1988年 オフセット・リトグラフ、紙
↓無知は恐怖 沈黙は死 1989年
オフセット・リトグラフ、光沢紙
↓ナショナル・カミングアウト・デー 1988年
オフセット・リトグラフ、紙
↓楽しさで頭をいっぱいにしよう!本を読もう!
1988年 オフセット・リトグラフ、光沢厚紙
ニューヨーク公共図書館の依頼で、識字率向上のために制作。多様な人種・民族で形成されているNYでの課題に取り組んだ作品。
「シンプルなビジュアル・メッセージが一番早く社会に広まる」というウォーホルのアドバイスから、へイングはポスターに熱心に取り組みました。
アートの力は人の心を動かし世界を平和にできるものだと信じていたヘリングは、ポスターだけでなく子どもたちとのワークショップや壁画など多くの媒体を使ってメッセージを送り続けました。
富裕層にだけでなく大衆に届けたいと考えたヘリングは、ストリートや地下鉄での活動に始まり、自身がデザインした商品を販売するポップショップといったアート活動を通し、彼らとのコミュニケーションを可能にしてきました。
↓《赤と青の物語》1989年 リトグラフ、紙
子供たちのために作られた20枚からなるシリーズ。へリングは、はじめに赤と青の抽象的な図形を描き、その後で大胆な黒の線を加えて様々なキャラクターなどに仕上げました。
1点だけでも独立した作品ですが、複数使って物語を考えたり、学校の教材としても取り入れられています。
赤、黄、青といった原色を使い、平面の形を立体に立ち上げた彫刻作品も。
17点による《ブループリント・ドローイング》は「ニューヨークでのはじまりを啓示するタイムカプセル」だとヘリングはテキストに残しています。
↓《ブループリント・ドローイング》
1990年 シルクスクリーン、紙
へリングが22歳の時に制作し、亡くなる1か月前に版画で再制作した17点のシリーズ。上の画像はその一部です。
それまでにも描かれていた、UFOや吠える犬、性の解放やテクノロジーの発達、暴力や戦争などを連想させるストーリーが組み合わさっています。
一点一点に解説は付けられていませんでしたが、鑑賞する側が、社会の現実に向き合い考える作品になっているのだと思います。
↓《無題》1988年
アクリル、キャンバス
自分の命が短いことをわかっていたへリングが、とても丁寧に制作した作品であると。動物にも見えるし、よく見ると人が手や肩を組んでいるようにも見えるし、色んなものが含まれていると思う、へリング集大成ともいえる作品。
亡くなる2年前の作品。
↓《イコンズ》1990年
シルクスクリーンにエンボス加工、紙
へリングが亡くなる1990年に制作された5枚組の版画作品。このキャラクターたちは、へリングの作品に度々登場し、明るい題材から社会が抱える問題まで広くメッセージを伝え続けているキャラクターたちです。
中心には、光り輝く赤ん坊という意味の「ラディアント・ベイビー」は、へリングの最もポピュラーなモチーフ。
赤ん坊が人間の完璧な姿であり、社会の色に染まらず純粋無垢で、未来への希望の象徴であると考えていました。
その他、撮影でしたが、キース・ヘリングが日本に来た時の映像が流れているエリアがありました。
日本に対して特別な想いを抱いていたヘリングが初来日したのは、1983年。
来日の際は扇子や掛け軸などに、墨を用いてドローイングを制作しています。
時はバブル期の東京~。”竹の子族”が踊ったり、ダンサーが踊る路上で、へリングが楽しそうに落書きをしているへリングの姿が映し出されています。
1988年には、ヘリングのデザインしたグッズを販売する”ポップショップ東京”が青山にオープンし、Tシャツ、缶バッジ、ポスター、マグネット、おもちゃなどが販売されました。
展覧会では、茶碗や扇子など代表的なものも併せて紹介されています。
会場のショップでは、様々なグッズが並んでいます。
Tシャツやフードが良かったかなあ~
”ユニクロ”にもへリングとのコラボTシャツが売っているので、見に行っちゃった
デザインいいけど、着る勇気がない
今回の展覧会の作品は、ほとんど ”中村キース・へリング美術館"所蔵。
”山梨県北杜市”にあるのですね~。
知らなかったです。
大自然の中にある、この美術館に行ってみたくなりました。
何となくみていたキース・へリング作品。
色々知ることができて良かったです。
2/25(日)まで。巡回もします。
巡回展
●兵庫県立美術館ギャラリー棟3階ギャラリー
2024年4月27日(土)~6月23日(日)
●福岡市美術館
2024年7月13日(土)〜9月8日(日)
●名古屋会場2024年9月~11月(予定)
●静岡会場2024年11月~2025年1月(予定)
●水戸会場2025年2月~4月(予定)
(2024/1 撮影)