【アーティゾン美術館】
「マリー・ローランサン」
-時代をうつす眼
2023年12月9日(土)ー2024年3月3日(日)
行ってきました。
マリー・ローランサン展。
昨年、休館前の”Bunkamura ザ・ミュージアム”でのマリー・ローランサン展にも行っていたので、こちらへも
マリー・ローランサン(1883-1956)は、20世紀前半に活躍した女性画家。
パリのアカデミー・アンベールで学ぶ。キュビスムの画家として活動をはじめます。
1914年にドイツ人男爵と結婚、ドイツ国籍となったが、第一次世界大戦によりフランスへ亡命。
1920年に離婚し、パリに戻ります。
1921年の個展での成功から、第二次世界大戦勃発後もパリで暮らします。
1956年に72歳で亡くなるまで制作をつづけました。
ローランサンは、キュビスムの画家として紹介されることがありますが、模倣していくのではなくパステルカラーの独自の画風を生み出していきます。
自分に影響を与えた存在として、同時代の画家マティス、ドラン、ピカソ、ブラックの名前を挙げています。
この展覧会は、石橋財団コレクションや国内外の美術館から、ローランサンの作品約40点、挿絵本等の資料約25点に加え、ローランサンと同時代に活躍した画家たちの作品約25点、合計約90点が展示されています。
展示構成の順番でご紹介~
※画像は撮影OK作品から。作品内容は公式HPなどを参考にしています。
序 章:マリー・ローランサンと出会う
⇩マリー・ローランサン《自画像》1904年
マリー・ローランサン美術館
↑思っていたローランサンのイメージとは違った自画像でした。暗~い表情ですね。。
⇩マリー・ローランサン《自画像》1908年
マリー・ローランサン美術館
↑25歳の時の自画像。
この時期、モンマルトルの集合アトリエ「洗濯船」に出入りするようになり、ピカソら芸術家たちと出会います。
ピカソやブラックの表現を探究したため、キュビスムの画家と数えられることもありました。
単純化された形態と輪郭線、平面的な色面。
現在、国立西洋美術館で開催中の「キュビスム展」にも、ローランサンの作品は出品されていました
⇩マリー・ローランサン《帽子をかぶった自画像》
1927年頃 マリー・ローランサン美術館
↑帽子はローランサンがよく描くアイテム👒
自画像1つにしても画風が変化しており、このパステルカラーは独自の表現ともいえます。
第1章:マリー・ローランサンとキュビスム
ローランサンが描いた”ピカソ”から~
⇩マリー・ローランサン《パブロ・ピカソ》
1908年頃 マリー・ローランサン美術館
⇩ジョルジュ・ブラック《パル(テーブルの上のバスの瓶 とコップ) 》
1911年 エッチング 石橋財団アーティゾン美術館
⇩マリー・ローランサン《ブルドッグを抱いた女》
1914年 群馬県立近代美術館
⇩ジャン・メッツァンジェ《キュビスム的風景》
1911–12年 石橋財団アーティゾン美術館
⇩ロベール・ドローネー《街の窓》1912年
石橋財団アーティゾン美術館
⇩アルベール・グレーズ《手袋をした女》
1922年頃 石橋財団アーティゾン美術館
この章に上がっている画家は「キュビスム展」でも多数出品されていました。
キュビスムといえば、パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックがあげられますが、その他、ジャン・メッツァンジェ、ロベール・ドローネー、アルベール・グレーズの作品です。
第2章:マリー・ローランサンと文学
小さな作品ですが、書籍の中の挿絵も、ローランサンは描いています。
数多くありましたが、数点だけ写しました。
特に「椿姫」は可愛くて好きでした
⇩ジャック・ド・ラクルテル著、
マリー・ローランサン 挿絵『スペイン便り』1926年
書籍(オリジナル版画:エッチング33点)
石橋財団アーティゾン美術館
⇩マリー・ローランサン《椿姫》1936年
水彩・紙 マリー・ローランサン美術館
第3章:マリー・ローランサンと人物画
⇩マリー・ローランサン《二人の少女》
1923年 石橋財団アーティゾン美術館
⇩マリー・ローランサン《女と犬》
1923年頃 石橋財団アーティゾン美術館
⇩マリー・ローランサン《女優たち》
1927年頃 ポーラ美術館
⇩マリー・ローランサン《手鏡を持つ女》
1937年頃 石橋財団アーティゾン美術館
⇩マリー・ローランサン《シェシア帽を被った女》
1938年 ヤマザキマザック美術館
↑ローランサンの人物画。年代順に並んでいます。
ピンクやグレー等の淡い色の儚げな印象のものから、段々と鮮やかな明るい色彩を使うようになります。線も明瞭になり、雰囲気も変わっていきました。
~同時期にパリで活躍していた画家たちの作品も並びます~
⇩ラウル・デュフィ
《ポワレの服を着たモデルたち、1923年の競馬場》
1943年 石橋財団アーティゾン美術館
⇩ケース・ヴァン・ドンゲン《シャンゼリゼ大通り》
1924–25年 石橋財団アーティゾン美術館
⇩アメデオ・モディリアーニ《若い農夫》
1918年頃 石橋財団アーティゾン美術館
⇩東郷青児《巴里の女》1921年
鹿児島市立美術館
⇩藤田嗣治《人形を抱く少女》
1923年 群馬県立近代美術館
人物画も画家によって、特徴のある描き方をしています。
ローランサンも独自性を確立していったといえるのでしょう。
第4章:マリー・ローランサンと舞台芸術
⇩限定書籍
『セルゲイ・ディアギレ フ劇場《牝鹿》』1・2巻
1924年 兵庫県立芸術文化センター/薄井憲二バレエ・コレクション
⇩表紙:フアン・グリス
バレエ・リュス公式プログラム (モナコ、モンテカルロ歌劇場)
1924年1月 プログラム
兵庫県立芸術文化センター/薄井憲二バレエ・コレクション
⇩マリー・ローランサン《牝鹿と二人の女》
1923年 ひろしま美術館
第5章:マリー・ローランサンと静物画
⇩マリー・ローランサン《花束》1939年
マリー・ローランサン美術館
⇩マリー・ローランサン《花を生けた花瓶》1950年頃
マリー・ローランサン美術館
⇩アンドレ・グルー(デザイン)
マリー・ローランサン(絵付)
アドルフ・シャノー(制作)
椅子(2脚) 1924年
黒檀、鼈甲、ファブリック(ボーヴェ 織物工房)、真鍮
東京都庭園美術館
🔍
バレエの舞台装置や舞台衣裳のデザインも手がけ、デザイン画や静物画なども描き、多方面に活躍していたことがわかります。
ローランサンの人物画も好きですが、静物画も素敵でした
終 章:マリー・ローランサンと芸術
⇩マリー・ローランサン《プリンセス達》1928年
大阪中之島美術館
⇩マリー・ローランサン《三人の若い女》
1953年頃 マリー・ローランサン美術館
↑亡くなる3年前。最晩年の作品。
初期の頃のぼんやりした画風ではなく、かなりはっきりした印象の作品です。
キュビスム期の《若い女たち》※画像なし、晩年の《三人の若い女》などの大作も展示。ローランサンの文学・バレエなど舞台芸術の仕事にも触れることができました。
~3/3(日)までです。
その他、コレクション展示の中の特集として「野見山暁治」作品が出品されています。
以前、先に投稿しましたのでよかったら↓
(2023/12 撮影)