*平成館【東京国立博物館】
「やまと絵」
-受け継がれる王朝の美-
会期:2023年10月11日(水)ー12月3日(日)
行ってきました。
4期にわたり展示替えがあります。私が行ったのは第1期。四大絵巻が揃う期間でした。
数ある絵巻作品のなかでも、最高傑作として名高いのが平安時代末に制作された「四大絵巻」。
この四大絵巻が集結したのは 30年ぶりだそうです このほかの期間にも、古代・中世絵巻の名品が出品されています。
「やまと絵」とは
平安時代、お手本にしていた中国の絵画(唐絵)に対して、日本の人々の日常の暮らしや、和歌に詠まれた身近な風景を描こうと生まれたもの。日本独自の文化として展開しました。四季の移ろい、月ごとの行事、花鳥・山水やさまざまな物語など、あらゆるテーマが描かれてきました。
◆見どころ
・教科書や美術全集で見た作品ばかり。総件数約240件の7割超が国宝、重要文化財。日本美術の王道!!
・やまと絵の美意識を支えた同時代の作品、絵画だけでなく書跡や工芸作品なども数多く出品!!
・四大絵巻、神護寺三像、三大装飾経など、超豪華作品が入れ替わります!!
~~この「四大絵巻」は☟
数ある絵巻作品のなかでも、最高傑作として名高いのが平安時代に制作された「四大絵巻」。
※撮影NGのため”チラシ”の画像。作品内容は公式HPなどを参考にしています。
●国宝 源氏物語絵巻 夕霧 (部分)
平安時代・12世紀 東京・五島美術館蔵
現存最古の絵巻物。うるわしき王朝貴族の世界。美しい料紙装飾と詞書も必見。
●国宝 信貴山縁起絵巻 飛倉巻 (部分)
平安時代・12世紀 奈良・朝護孫子寺蔵
信貴山朝護孫子寺を開いた命蓮の奇跡の数々を描いた説話絵巻。
鉢が空を飛ぶ!米俵が舞い上がる!摩訶不思議なストーリー。次々に展開する奇想天外な物語。
●国宝 伴大納言絵巻 巻上 (部分)
伝常磐光長筆 平安時代・12世紀 東京・出光美術館蔵
いったい誰が火を放ったのか?歴史的事件、平安時代前期に起きた応天門炎上事件を描いた作品。
群衆、燃え盛る炎、立ちのぼる黒煙など、真に迫る描写。宮廷絵所絵師・常磐光長筆と考えられている。
前半は動的に、後半は静的に描かれている。
●国宝 鳥獣戯画 甲巻 (部分)
平安~鎌倉時代・12~13世紀 京都・高山寺蔵
墨線のみで描かれる、擬人化された動物たちの活き活きした姿が描かれ、くすっと笑える戯画。
動物たちだけでなく、背景の草花や川の繊細な描写も
~その他の屏風も
実は、最後に飾られていた屏風!!
●重要文化財 浜松図屏風
室町時代・15~16世紀 東京国立博物館
光に満ちたパラダイスの風景
まぶしく輝く浜辺の風景に多くの花木や草花、鳥の姿を重ね、画面の右から左に移ろう季節をも表わしたにぎやかな屛風。
古代・中世やまと絵のさまざまな要素を集約した、イチオシ、究極のやまと絵。
●国宝 山水屛風
鎌倉時代・13世紀 京都・神護寺蔵
現存最古のやまと絵屛風。
遠くから見ればおだやかでありながら雄大な山並みが広がり、近くで見れば貴族や庶民の暮らしが細やかに描かれている。失われた平安時代やまと絵の姿を伝える大変貴重な作例なのだそう。
●国宝 蒔絵箏(本宮御料古神宝類のうち)
平安時代・12世紀 奈良・春日大社蔵
蒔絵で表わされた美しい山岳図。神に捧げるために作られた筝という楽器。 面には、蒔絵を駆使して、墨流しのような山岳の場景が表わされている。王朝貴族の美意識が結実した工芸品(実際には演奏していなかった、装飾品としてのもの)。
**画像なし**
●「地獄草紙」「餓鬼草紙」「辟邪絵」「病草紙」
「地獄草紙」「餓鬼草紙」「辟邪絵」「病草紙」も気になった作品。そしてこれが”国宝”だった!! 少しダークです
●重要文化財 紫式部日記絵巻断簡
鎌倉時代・13世紀 東京国立博物館蔵
失われた王朝時代を追慕する。
紫式部の仕えた藤原彰子(藤原道長の娘で一条天皇の中宮)を中心とする華やかな宮廷生活が描かれる。
後京極良経筆と伝わる詞書、金銀で加飾された料紙装飾にも当時の美意識が見られる。
**画像なし**
●国宝 平治物語絵巻 六波羅行幸巻
鎌倉時代・13世紀 東京国立博物館蔵
合戦絵巻の代表的名品。
平安時代末に起こった平治の乱を描いた絵巻。大型の料紙に鮮やかな彩色、かっちりとした線描などは新時代の美意識を感じさせる。信西巻(静嘉堂文庫美術館蔵)、六波羅合戦巻断簡も同一期間に展示。
**画像なし**
●源氏物語図扇面貼交屛風
室町時代・16世紀 広島・浄土寺蔵
四季絵の要素を取り込んだ成熟期の源氏絵。
源氏物語の著名場面を60面の扇面に描いた作品。物語の順ではなく、描かれた場面の季節に沿って、春夏秋冬の順に屛風に貼り交ぜていまる。源氏絵の新たな享受のかたちを示す作例。
よく見ると扇の1枚1枚に源氏物語の一場面が描かれ、扇は実際に使用されていたもの。室町時代には源氏を扇面に描くことがとても盛んだったそう。
華やかで豪華な屏風は印象に残るものでした
●重要文化財 百鬼夜行絵巻 伝土佐光信筆
室町時代・16世紀 京都・真珠庵蔵
豊饒なる室町絵巻の優品。闇夜に行列する妖怪たちの姿を描いた絵巻。優れた画技のコミカルな妖怪たちの姿。宮廷絵所預(えどころあずかり)・土佐光信筆の伝承を持つ室町絵巻の優品。
可愛いのか憎たらしいのかわからないようなキャラの妖怪たち。結構この絵巻好き
ひとつひとつのキャラが独特すぎる
**画像なし**
●重要文化財 砧蒔絵硯箱
室町時代・15世紀 東京国立博物館蔵
満月に照らされた秋野の枕。月夜の秋野にぽつんと枕が置かれた不思議な景色が蒔絵で表わされている。「衣打つ音を聞くにぞ知られぬる里遠からぬ草枕とは」という和歌を象徴的に表わした情景。
↑時々、常設展示で鑑賞していました。他にも、重要文化財「男山蒔絵硯箱」も出品。蒔絵好きです
**画像なし**
●年中行事絵巻(住吉本)
住吉如慶他筆 江戸時代・寛文元年(1661)頃
原本:常磐光長筆 平安時代・12世紀
平安時代末の京都を描いた幻の絵巻。後白河天皇命令で作られた宮中や都の儀式行事祭礼を描いた絵巻。原本は宮廷絵師常磐光長が描いた60巻にも及ぶ大作で、本作は原本焼失前に写された貴重な作例。半世紀ぶりの展覧会公開。
●重要文化財 石山寺縁起絵巻 伝高階隆兼筆
鎌倉~南北朝時代・14世紀 滋賀・石山寺蔵
石山寺の歴史を美しい四季の風景とともに描く。
『更級日記』の作者、菅原孝標女が石山寺に参詣した場面。道中激しい風雪に見舞われたとあり、降り積もった雪が美しい自然景は、宮廷絵所絵師・高階隆兼の画風を今に伝えてくれる。
**画像なし**
●源氏物語図扇面 伝土佐光元筆
室町時代・16世紀 東京国立博物館蔵
中世最後のやまと絵師の作品。土佐光信の孫で光茂の子、光元筆と考えられる作品。織田信長に仕えた光元は但馬攻めに従軍して戦死。これにより土佐家は断絶。光元の死は古代・中世と続いたやまと絵の一つの画期を象徴するもの。
●重要文化財 月次風俗図屛風
室町時代・16世紀 東京国立博物館蔵
近世風俗画を予感させる新旧融合のやまと絵。
月ごとの行事や景物等を描く月次絵の伝統を引く作例。賀茂競馬、春日若宮おん祭など従来的な画題に加え、羽根つき、花見、田植え、雪遊び等、庶民の営みを多く描くのは新時代の感覚。修理後初公開!!
その時代の様子がわかる行事や景色、姿などが活き活きと描かれた絵巻!
絵巻って面白い!!と思った展覧会。
楽しみにしていた”四大絵巻”や”紫式部日記絵巻断簡”、「源氏物語」関連の作品が見れただけでも
所蔵先や今までの別の展覧会で見たことあるかも!と思ったり、記憶に残っているぐらいの名品、勢ぞろいの展覧会でした。
来年の大河ドラマ「光る君へ」も楽しみです
あと、閉幕まで2週間ぐらい。
私が鑑賞した期間の作品投稿ですが、まだまだ見どころ満載の名品があるようです。
12/3(日)まで。
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この投稿を書きながら知りました。
やまと絵展のチラシの表には、よーく見るといろんな作品の登場人物が隠れていたり、
チラシの上で【ARが出現!】一部作品のARが楽しめるようになっていました
立体的に屏風が見えましたよっ
※XR観光アプリ「ストリートミュージアム」をダウンロード→地図の東京近辺の「特別展やまと絵」選択→チラシのARマークのある作品にカメラをかざすと立体的に表示されます。詳細はチラシで。
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(2023/10 撮影)