【国立新美術館】
「テート美術館展 光」
— ターナー、印象派から現代へ
会期:2023年7月12日(水)ー10月2日(月)
行ってきました
もう閉幕。10/2(月)まででした。
好きな作品も多かった展覧会でした。
この展覧会は、
英国・テート美術館から「光」をテーマにした名品約120点が一堂に。
そのうち100点が日本初出品。
18世紀末から現代までの”光とアート”をめぐる約200年の軌跡。
光に包まれるインスタレーションを体験できます。
展示構成は、全7章。
●精神的で崇高な
●自然の光
●室内の光
●光の効果
●色と光
●光の再構成
●広大な光
※画像は撮影OK作品やチラシから。作品内容は公式HPなどを参考にしています。
展示室へ
最初は聖書や神話を象徴的に描いた作品から始まりました。
⇩ジョージ・リッチモンド《光の創造》1826年
↑神が最初に作ったものが光(旧約聖書より)だから。。
⇩ウィリアム・ブレイク《アダムを裁く神》1795年
↑英国の画家ウィリアム・ブレイク(1757–1827年)。自身が創作した神話「ユリゼンの書」との関連から描かれた作品。
右には、神の様な存在と、左には、頭を下げているアダム。
この作品で自らの想像上の神に後光が差すような表現を取り入れ、その姿に威厳や権威を持たせたと。
⇩ジョン・マーティン《ポンペイとヘルクラネウムの崩壊》1822年、2011年修復
↑79年伊ヴェスヴィオ山の噴火で埋没した古代都市ポンペイと、ポンペイの姉妹都市のヘルクラネウム。
ヴェスヴィオ山の溶岩が迫ってくる恐さを感じる一方で、赤く染まった輝きがなぜか美しい~と感じるものでした
実際の絵には迫力があり、印象に残った作品でした
ターナーの作品が続きます。
「光の画家」と呼ばれる英国のジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775–1851年)が描く光は明確な輪郭線を持たず、ぼんやりです。
⇩ ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー
《陽光の中に立つ天使》1846年出品
⇩ ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー
《湖に沈む夕日》1840年頃
⇩ ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー
《陰と闇─大洪水の夕べ》1843年出品
??ターナーって、こんなに”ぼんやり"だった??と思ったターナーの作品でした。。が、少し眺めていると景色が見えるような見えないような。。。。じっくり、ゆっくり鑑賞したい作品ばかりでした~
⇩エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ
《愛と巡礼者》1896-97年
↑中世フランスの教訓的寓話詩「薔薇物語」から着想を得たといわれる作品。右は天使(愛の化身)、左の巡礼者を、孤独と闇から救い出すという、愛(光)を見つける場面。
20年以上かけて仕上げた晩年の代表作だそうです。
ターナーと同時代に活躍したライバルといわれる、ジョン・コンスタブル(1776–1837年)は、卓越した画力と構成力によって自然の風景を描き出すことを追求していく。
⇩ジョン・コンスタブル《ハリッジ灯台》
1820年出品?
↑光の加減とともに雲が変化する様子が描かれ、作品の面積のほとんどを占める。変化する自然の風景をとらえようとしました。
他にも、自然の光をどのように表現するかをテーマに、さまざまな画家の作品が並びます。
⇩ジョン・ブレット《ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡》1871年
↑航海の経験を積んだという英国出身のジョン・ブレット。海や海岸などなじみ深い主題に取り組む。
この作品は、1870年夏イングランド南西部の沿岸を実際に航海した時に記録した情報やスケッチを元に描いたもの。
上下真っ二つに分かれた構図で、空から降り注ぐ光と、水面に映る光は、とても美しいです
☝の作品と☟の作品は、特に好きな作品でした
⇩ジョン・エヴァレット・ミレイ
《露に濡れたハリエニシダ》1889-1890年
↑光の精緻な表現に取り組んだ画家。
この作品を制作するにあたり「木の霊が放つ力強い声」に着想を得たと言われている。朝露に当たる光が反射して露が立ち込める神秘的な風景画。スコットランドの自然の光を捉えようとした晩年のミレイの試み。
⇩クロード・モネ《エプト川のポプラ並木》1891年
↑モネの睡蓮も良いですが、ポプラのシリーズもです。
この作品はジヴェルニーのポプラ並木を描いた23点の中の1点だそうです。
⇩アルマン・ギヨマン《モレ=シュル=ロワン》
1902年
⇩カミーユ・ピサロ《水先案内人がいる桟橋、
ル・アーヴル、朝、霞がかった曇天》1903年
室内の光
19世紀末からは、室内というプライベート空間をどう描くかを考えた画家たち。
窓から入ってくる光の効果などを作品に取り入れることで、人同士の心のつながりや、個人の内面を鮮やかに映し出そうと試みていく。
⇩ウィリアム・ローゼンスタイン《母と子》1903年
↑英国のウィリアム・ローゼンスタイン(1872–1945年)。”イギリスのフェルメール”と言われることもあるそう。
この作品は、親子の何げない日常を描いた作品。2人の親密な関係性を裏付けるために柔らかな光を用いています。描かれているのは、ローゼンスタインの長男ジョンと妻のアリス。
この長男ジョンは後に美術史家となり、1938年から30年間テート美術館の館長になるジョン・ローゼンスタインだそうです
⇩ヴィルヘルム・ハマスホイ《室内》1899年
↑対照的な、デンマークの画家ヴィルヘルム・ハマスホイ(1864–1916年)。
この作品は、暗めの色づかいで、淡い光を効果的に描くことで室内の静けさ、空気の冷たさを感じさせる。
次のエリアは、”色と光” や ”現代美術の光”へ。
⇩ペー・ホワイト《ぶら下がったかけら》2004年
↑アメリカの女性アーティスト。
482本の糸と切り抜かれた紙片が天井からつるされてできている作品。
ゆらゆら揺れる紙の1枚1枚が「植物の葉」を示し”揺れ動く葉”や”さざめく鳥”を表現して・・・・・・と、いわれなきゃわからなかったです。ただ見てキレイ~と思って見てました
作り出す影にも注目です。
⇩ワシリー・カンディンスキー《スウィング》1925年
⇩ゲルハルト・リヒター
《アブストラクト・ぺインティング(726)》1990年
↑ドイツの画家。日本だけの特別出品。
昨年、リヒター展が東京で開催されましたね(説明省略)
⇩ブリジット・ライリー《ナタラージャ》1993年
↑英国の画家ブリジット・ライリー(1931年–)。錯覚や視覚の原理を利用した絵画のオプ・アート(オプティカル・アート)の第一人者。
この作品も、様々な色の四角形や線を規則的に配置することで、錯覚をもたらす作品。
現代美術の光~
気候変動に強い関心があるという、デンマーク出身のオラファー・エリアソン(1967年–)。人々が周りの環境とどのように関わるのかを制作における重要なテーマとしている。
⇩オラファー・エリアソン《黄色vs紫》2003年
↑デンマーク出身の現代作家。1967年生まれ。
黄色と紫色は捕色の関係で、重なると透明になる!?というもの。この効果を使った作品。見ないと説明難しい、、、
⇩《星くずの素粒子》2014年
↑天井から吊るされた大きな多面体の作品。スチール製の枠の中に反射ガラスがはめ込まれている。半透明の作品はミラーボールのように回転して輝き、展示空間に美しい光を投げかけています。
「宇宙の広がりと儚さ、その中で私たちの居場所を探る方法としての光」
~~見るものは、この反射する光に満たされた空間に身を置くことで、自らの行動がどのように世界に作用するのかを意識することができる~~
現代アートは一瞬みただけではわからないけれど、考えながら見ると奥が深い。今さらです
作品を目の前にして体感しないとわからない面白さがありました
この展覧会は、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドで話題となった世界巡回展で、日本がその最終開催地だそうです。
本日で終了。次回は大阪です!
巡回展
大阪展:大阪中之島美術館
2023年10月26日(木)-2024年1月14日(日)
最近、過去の投稿が多くなっています
(2023/9 撮影)