【東京国立近代美術館】
「MOMATコレクション」(所蔵作品展) 
会期:2023年5月23日(火)~2023年9月10日(日)

※一部展示替えがありました。


企画展「ガウディとサグラダ・ファミリア展」がある中での「MOMATコレクション」です。

 

今回のコレクション展は「1923年に起きた関東大震災から今年で100年」ということで、被災、復興、社会のひずみなどのトピックから震災と美術の関係を振り返ったテーマの作品が並んでいました。その中から数点を。。。

 

※画像は撮影OK作品。作品内容は公式HPなどを参考にしています。

​​​​​​​1923年の美術
今年は、関東大震災から100年目の節目。1923年9月1日 11時58分、相模湾沖で発生したM7.9の巨大地震が関東地方を襲いました。
上野公園の竹之台陳列館では、第10回再興院展と二科展の初日でした。陳列館の倒壊は免れましたが壊れた作品もある中、無事だった作品を集め大阪、京都、福岡などで展覧会を巡回。
当時これらの展覧会に出品されていた頃の作品などが紹介されています。

 

⇩黒田重太郎《港の女》1922年 油彩 作者寄贈

 

⇩石井柏亭《ナポリ港》1923年 油彩 上山英三氏寄贈

 

⇩津田青楓《出雲崎の女》1923年 油彩 作者寄贈

 

 

​​​​​​​​​​​​​​被災と復興

多くの人が被災し甚大な被害を出した関東大震災。TVもネットもない時代、美術家たちは被害の様子を記録しようと筆やカメラをとりました。
やがて、展示活動を再開。避難民が暮らすバラックに意匠を提案し、新たな街づくりの提言をしたり、復興の様子を描くなど、彼らは様々な形で復興に携わるようになります。
大震災後の精神的混迷期を通じて、前衛芸術の動きは震災前からみられましたが、震災によって加速していきました。

 

⇩住谷磐根《作品》1924年 油彩 購入

 

⇩村山知義《コンストルクチオン》1925年 油彩、紙、木、布、金属、皮 浜徳太郎氏寄贈

 

⇩織田一磨《『画集銀座 第一輯』より 酒場バッカス》1929年 リトグラフ 織田ユキエ氏寄贈【2023/07/19~2023/09/10】

 

⇩川上澄生《「新東京百景」のうち 銀座》1929年 木版(多色) 購入

【2023/07/19~2023/09/10】

 

 

​​​​​​​​​​​​​​社会のひずみ

 

震災後の復興を通じモダンな都市文化が発達した一方で、社会のひずみも徐々に露わになっていきます。
官憲や自警団が震災時にみせた凶暴さが体制批判の思想を生み出し、無政府主義・社会主義へと傾倒した美術家たちは、プロレタリア美術へと向かいます。

1929年には「日本プロレタリア美術家同盟」も結成され、開かれた展覧会では、労働者のデモやストライキ、働く場であった工場などを題材にした作品が数多く発表されました。

彼らの表現は、絵画や彫刻だけでなく、版画やポスター、演劇、漫画、出版物など幅広いジャンルに及びます。しかし、治安維持法の改正や警察による弾圧を背景に、1934年にはプロレタリア美術運動は終息していきます。

 

⇩望月晴朗《同志山忠の思い出》1931年 油彩 山本喜三郎氏寄贈

 

⇩小野忠重《結末》1933年 木版(多色) 購入

【2023/07/19~2023/09/10】

 

右:藤牧義夫《都会風景》1933年 木版 購入【2023/07/19~2023/09/10】

左:藤牧義夫《鉄の橋》1933年 木版 購入【2023/07/19~2023/09/10】

 

 

コレクション展は、各部屋ごとにテーマがあります。今回の投稿は、関東大震災に関連した作品でしたが、その他、”生誕100年を迎える写真家の大辻清司の特集”や、”新収蔵&特別公開”の日本画なども紹介されています。

 

印象に残っている作品は多くありますが、また別の機会に、、、。

 

「ガウディとサグラダ・ファミリア展」だけでなく、こちらのコレクション展も、じっくりと~。ぜひバイバイ

 

(2023/8 撮影)