~下関・山口県
下関市立美術館へ。
残念ながら行った日に企画展なし。
所蔵品展№161「開館40周年記念名品選」開催中でした
<会期:2023年7月15日(土)~8月27日(日)>
美術館入口
美術館へ円形に上っていくアプローチ部分
⇩カール・ミレス《人とペガサス》1949年
↑カール・ミレス(1875年~1955)は、スウェーデン生まれ。一時ロダンの助手をつとめる。幻想的でモニュメンタルな作風を展開し、スウェーデン彫刻界の第一人者とされた。
ミレスの彫刻は神話や伝説に題材を取った作品が多く、この『人とペガサス』はギリシャ神話に題材を取ったもの。コリントの英雄べレロフォンが天馬ペガサスに乗って、怪物キメーラを退治に行く物語。
素材のブロンズの重さを感じさせない構成は、ミレス独特の力学的計算に裏打ちされ、 躍動する大きな像がわずかな接合部だけで支えられている。
「高みへ駆け上がろうとする精神の象徴」 印象に残る作品です
美術館内に入る前から、多くの彫刻作品が迎えてくれ、野外彫刻も豊富です。
⇩淀井敏夫《夏の海》1983年設置?
↑淀井敏夫(1911~2005)は、兵庫県朝来市生まれ。文化勲章受章者。
削げたような形態と岩のような質感のユニークな作品で知られる。
⇩速水史朗
奥の垂直作品 《GANRYU》1985年・黒花崗岩
手前の水平作品 《MUSASHI》1998年・花崗岩
↑速水史朗(1927~)は、香川県仲多度郡多度津町生まれ。今も現役の日本の彫刻家。1996年に紫綬褒章、2005年旭日小綬章を受章。
石膏、コンクリート、鉄などの素材のほか、瓦土による瓦彫刻でも知られる。モニュメントや壁面レリーフ制作も多い。
これら2作品の、奥に立つのは佐々木小次郎の折れた長刀、手前は宮本武蔵の木刀のイメージなのだそうです。
やっと、館内へ。
展示室内は撮影。エントランス部分にも素敵な作品がありましたが、そちらも撮影。
※画像は購入したハガキから。作品内容は公式HPなどを参考にしています。
⇩松林桂月《春宵花影》1944年
↑松林桂月(1876~1963)は、山口県萩市生まれ。
※この展覧会での、日本画コレクションの中には、下村観山・木村武山、高島北海、上村松園も。
印象に残った作品は、
堂本印象《秋意》1924年頃、伊藤深水《浴後》1928年
⇩岸田劉生《村娘之図》1919年
↑岸田劉生(1891~1929)は、東京・銀座生まれ。山口県徳山で亡くなる。
娘・麗子を描いたシリーズの他、『村娘之図』の少女・於松の肖像も平行して数多く描かれている。
岸田劉生といえば、油彩のこってりした印象があったので、水彩のこの作品は印象に残るものでした
⇩松本竣介《街にて》1940年
↑松本竣介(1912~1948)は、東京・渋谷生まれ。
都会の風景は松本俊介にとって重要なモチーフ。寡黙な表情の人物群、交錯する建物や人物の生活を描く。
この『街にて』の基調になっている青と白の色彩は、この時期の特徴。太平洋戦争開戦前年に描かれ、前面に登場するのは都会的な風俗の人々であるが、その背後には緊張をはらむ時代の空気が描き出されている。
⇩香月泰男《桐》1948年
↑香月泰男(1911~1974)は、山口県大津郡三隅町(現・長門市)生まれ。
戦時中シベリアでの強制労働に従事。後に主題・背景となった「シベリアシリーズ」が制作される。
その戦前、戦後には、下関市の高等学校で美術教師として着任経験あり。
香月は「シベリアシリーズ」が注目される一方で、自身の故郷の風景も多く描き、魚や海、家族や身近にある食材や動植物を多く描きました。
⇩岡鹿之助《遊蝶花》1951年
↑岡鹿之助(1898~1978)は、東京・麻布生まれ。岡田三郎助に師事。1924年、渡仏、藤田嗣治に師事。
岡の絵は、三色すみれ、発電所、古城、雪といったモチーフが繰り返し描かれたが、この『遊蝶花』はその代表的な作品。この作品名は、上田敏訳のグウルモンの詩『シモオヌ』からとられた。
来館者アンケートで人気の作品だそうです
1952年「遊蝶花」などで芸能選奨文部大臣賞受賞。1964年日本芸術院賞、1972年文化勲章を授与。
このエリアの、洋画コレクションの中には、その他、梅原龍三郎、古賀春江、瑛九、脇田和も。
印象に残った作品は、
岸田劉生《初夏の小路》1917年、古賀春江《題のない画》1929年、香月泰男《二人座像》1936年、なんといっても、藤田嗣治の作品の数々、ただ、ハガキがない!!!
藤田嗣治《魚屋の小僧(魚河岸)》1934年、《雪児童》1928年、《パリのマドレーヌ》1939年
またどこかの展覧会で見れるかしら・・・🤔
※版画や工芸のセレクションの中には、浜口陽三、浜田知明、横尾忠則、ミュシャ、エミール・ガレなどの作品も並んでいました。
今回の所蔵品展№161は、下関市立美術館の1983年の開館40周年の今年、所蔵する約2,400 点の作品の内、約50点を展示。
開館のきっかけとなった、下関市出身の実業家・河村幸次郎氏による寄贈作品が主です。
作品には、学芸員さんのコメントも付いていて、”館長/学芸員が「ぜひ見てほしい」作品” ”来館者に人気の作品” ”貸出しオファーの多い作品” など、鑑賞するための工夫がありました。
この美術館の”貸出しオファーの多い作品”は、下関ゆかりの画家、香月泰男、狩野芳崖などの他、藤田嗣治や岸田劉生の作品だそうです。
これからも展覧会を鑑賞する際は、今まで以上に”〇〇美術館蔵”のチェックも欠かせませんね
今まで何度か行ったことがあった「下関市立美術館」でしたが、改めて良い作品が多くてビックリでした。
そしてこちらにもビックリ
所蔵品展の観覧料が 210円。だ、大丈夫でしょうか。安すぎて、、
東京都内の大規模展も楽しいですが、地方の美術館には、素晴らしい作品が多く眠っているような気がします。
少~しずつ色々な所に足を延ばしてみようと思います
↓下関市立美術館 公式サイト
山口県には、雪舟、狩野芳崖、香月泰男コレクションの「山口県立美術館」や、浮世絵、東洋陶磁の作品が多い「山口県立萩美術館・浦上記念館」もあります。
今回は時間がなくて、行くことができませんでしたが、また行きたいです
(2023/7 撮影)