【アーティゾン美術館】
「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開」
セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ
会期:2023年6月3日(土)~8月20日(日)
行ってきました。
久しぶりの”アーティゾン美術館”だった上に、今回の展覧会は、新収蔵作品が多く出品されるとあって、楽しみにしていました
この展覧会は、20世紀の絵画表現を牽引してきた抽象絵画の起源と展開を、国内外から集結した約250点で展観する大規模展。
アーティゾン美術館の新収蔵作品95点を含む約150点、国内外の美術館、個人コレクション等から約100点、あわせて約250点の作品です。
250点とは、すごい量・・・。今回、アーティゾン美術館の全展示室を使用しています。
この中からいくつか。新収蔵作品を中心に、好きだった作品や気になる画家の作品を投稿します
※画像は撮影作品。作品内容は公式HPなどを参考にしています。
◆Section1 『抽象芸術の源泉』
抽象表現の起点を印象派とし、ここではセザンヌ、マネ、ゴッホ、モネなどの作品が展示。
ポール・セザンヌ《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》1904-06年頃
⇧印象派を代表する画家セザンヌ。この作品は、最晩年に描かれた作品だそう。
フィンセント・ファン・ゴッホ《モンマルトルの風車》1886年
◆Section2 『フォーヴィスムとキュビスム』
ドランのフォーヴ時代とされる1904-06年の貴重な作品が展示。その他、マティス、ドラン、ヴラマンク、デュフィ、ミロ、ピカソなどの作品が展示。
アンドレ・ドラン《女の頭部》1905年頃
⇧1905年夏にマティスと共に南仏で制作をする。フォービズムが誕生した頃の制作作品。女性の顔の色に、青や緑、、、
アンリ・マティス《画室の裸婦》1899年
⇧マティス展を見に行ったので、やはり気になるマティス。
モーリス・ド・ヴラマンク《色彩のシンフォニー(花)》1905–06年頃
パブロ・ピカソ《ブルゴーニュのマール瓶、グラス、新聞紙》1913年
ジャン・メッツァンジェ《円卓の上の静物》1916年
⇧初めはフォービズムなどの影響を受けるが、その後キュビスムの推進者となった。
◆Section3 『抽象絵画の覚醒—オルフィスム、未来派、青騎士、バウハウス、デ・ステイル、アプストラクシオン゠クレアシオン』
1910年前後が起源とされる抽象絵画。 その時期に抽象表現に取り組んだアーティストやグループの作品です。
フランティセック・クプカ《赤い背景のエチュード》1919年頃
⇧今回のメインビジュアル
チェコ出身の画家。光と色彩が主題のオルフィスムの画家の一人。宇宙の法則を探究していった。
抽象表現は彫刻にも。
コンスタンティン・ブランクーシ《接吻》1907–10年
ウンベルト・ボッチョーニ《空間における連続性の唯一の形態》1913年
⇧イタリアの芸術運動、未来派のひとり。
ヴァシリー・カンディンスキー《自らが輝く》1924年
⇧ロシア出身。「青騎士」を結成。
ヴァイマールの先駆的芸術学校バウハウスで教鞭もとった。
パウル・クレー《小さな抽象的ー建築的油彩(黄色と青色の球形のある)1915年
ピート・モンドリアン《砂丘》1909年
⇧幾何学的な抽象絵画を追求。点描手法を用いて、色彩と形態の表現効果を探究した時期の作品。
ジョージア・オキーフ《オータム・リーフII》1927年
⇧モダニズム絵画が浸透していなかったアメリカにおいて、前衛的絵画を創造した人物として知られる女性画家。マティスやピカソなどの作品に興味を傾けていき、1920年代に自然の中で見つけた対象を画題としながら、シンプルな木の葉をインパクトのあるイメージへと変換させている。
今回楽しみにしていた画家の一人!! 気になる気になる。。 大胆さを感じました。。
ライオネル・ファイニンガー《バウハウス宣言書》1919年
⇧ヴァイマール国立バウハウスは、1919年4月、造形活動の究極的な目標を建設に置き、工芸と諸芸術の統合を謳う、建築家ヴァルター・グロピウスのコンセプトのもとに設立された。
設立時のマニュフェストはグロピウスが起草、聖堂を描いた挿画は、設立にあわせてマイスターのひとりとして招聘されたライオネル・ファイニンガーによるもの。
◆Section4 『日本における抽象絵画の萌芽と展開』
キュビスムや未来派の造形原理を学んだ古賀春江、パリでアプストラクシオン゠クレアシオンに加入していた岡本太郎ら日本近代作家による抽象絵画の作品です。
古賀春江《無題》1921年頃
古賀春江《窓外風景》1925年頃
◆Section5 『熱い抽象と叙情的抽象』
第二次大戦後のフランスで新たに起こった絵画表現の動向をフォートリエ 、デュビュッフェ 、スーラージュ、ザオウーキー、堂本尚郎らの作品です。
ジャン・フォートリエ《旋回する線》1963年
ザオ・ウーキー《水に沈んだ都市》1954年
⇧1948年に中国からフランスに渡ったザオ。西洋美術を学び、次第に抽象性を強める。四角形の建築や先の尖った塔など、ヨーロッパの特徴的な都市の景観が描かれている。
堂本尚郎《作品》1957年
今井俊満《キリスト》1960年
ジョルジュ・マチュー《10番街》1957年
◆Section6 『トランス・アトランティック-ピエール・マティスとその周辺』
ヨーロッパで興隆した抽象絵画は、その拠点をパリからNYに移します ピエール・マティスによってアメリカにもたらされた作品が展示されています。
ジョアン・ミロ《絵画》1952年
⇧戦後のミロの絵画を特徴づける詩的な抒情性を持った作品。この作品は、ミロが還暦を迎える1953年に、マティス画廊の「ミロの近作絵画展」に出品された。
マルセル・デュシャン《マルセル・デュシャンあるいはローズ・セラヴィの、また は、による(トランクの箱)シリーズ B》1952年、1946年(鉛筆素描)
⇧デュシャンはフランスの芸術家。自身の作品を複製し「トランクの箱」として知られるミニチュアからなる「携帯できる美術館」の制作に着手した。小さな箱の中の美術品です。
◆Section7 『抽象表現主義』
抽象表現主義は第二次世界大戦後から1950年代にかけて展開したアメリカ絵画の潮流を指す。ウィレム・デ・クーニング、ポロック、ロスコや、同時代に活躍した女性画家の作品も多数展示されている。
アーシル・ゴーキー《無題》1946年頃
ハンス・ホフマン《プッシュ・アンド・プル II》1950年
ジャクソン・ポロック《ナンバー2、1951》1951年
ウィレム・デ・クーニング《一月》1947–48年
⇧オランダ出身。米国で開花した抽象表現主義を先導した画家。黒や白だけでなくピンク色も施されている。この作品には、数字の”2”や小さな”J”の形態が見られる。制作場所が都会だったことを考えると、街路を飾る広告や看板の文字や記号にちなんだ要素と考えられている。
マーク・ロスコ《無題》1969年
⇧抽象表現主義の代表的な作家。ロスコ最晩年の作品。淡い色みが印象的でした。
ジョアン・ミッチェル《ブルー・ミシガン》1961年
イサム・ノグチ《独り言》1962年
◆Section8 『戦後日本の抽象絵画の展開(1960年代まで)』
戦後日本の抽象絵画は、可能性を広く探りながら、同時代の国外の動向に絶えず目を凝らし、アイデンティティを構築しようとしていた。山口長男、草間彌生、猪熊弦一郎、瑛九らの作品が展示されています。
オノサト・トシノブ《朱の丸》1959年
⇧長野県飯田市出身の画家。モザイク風の方形から円形が浮かび上がる幾何学的な作品。この”円”は、以前から描いており、この作品は、この主題を発展させた作品。
斎藤義重《作品》1961年
岡田謙三《ユートピア》1959–60年
◆Section9 『具体美術協会』
吉原治良の「他人のやらないことをやれ」という教えのもと、戦後の阪神間地域を拠点に活動し、世界でも評価の高い具体美術協会。 吉原治良をはじめ、白髪一雄、田中敦子、元永定正らの作品が展示されています。
白髪一雄《白い扇》1965年
元永定正《無題》1965年
田中敦子《無題》1965年
◆Section10 『瀧口修造と実験工房』
実験工房は詩人・評論家・造形作家として知られる瀧口修造のもと、若手芸術家14人が集まって結成された総合芸術グループ。北代省三、福島秀子、山口勝弘らの作品です。
山口勝弘《ヴィトリーヌ 昇天》1955年
福島秀子《銀の絵》1959年
◆Section11 『巨匠のその後—アンス・アルトゥング、ピエール・スーラージュ、ザオ・ウーキー』
戦後パリの「熱い抽象」を担った彼らは、永続的に自己の抽象表現を発展させ続ける。そんな彼らの晩年の成果に焦点を当て構成されています。
ピエール・スーラージュ《絵画 2007年3月26日》2007年
アンス・アルトゥング《T1989-H35》1989年
ザオ・ウーキー《07.06.85》1985年
◆Section12 『現代の作家たち—リタ・アッカーマン、鍵岡リグレ アンヌ、婁正綱(ろうせいこう)、津上みゆき、柴田敏雄、髙畠依子、横溝美由紀』
最後のSectionは、現代の抽象表現を示す作家の作品。独自の技法による多様な表現です。
リタ・アッカーマン《ママ、ヤマカをかぶった少年》2021年
鍵岡リグレ アンヌ《Reflection p-10》2023年
津上みゆき《View, Water, A Leaf, 1:37pm 23 December 2022, 2023》2023年
⇧日々のスケッチをもとに風景画を描いている現代の画家。作品に”View”が付けられている。
ただ見たままの風景を描くのではなく、いつ、どのように、風景をみるか。風景とそれを描く自分の関係を作品に表現している。海外でも個展が開かれ、現在、活躍中です。
柴田敏雄
髙畠依子《CAVE》2022年
横溝美由紀
展示構成順に並べてみました。
この展覧会は、あまりに作品が多いため、さらっと鑑賞しなければ数時間かかります。難しいことは、あまりわからないので、とても感覚的に”色彩”や”形”が、なんか素敵、面白い、気になると思ったものを、写してきました。
わっ、好きと思ったら、撮影NGだったりもしましたが、大半は撮影OK。きりがないです。
抽象画がお好きな方は、見応えあります。
今週末、8/20(日)まで。ぜひ。
(2023/7 撮影)