【Bunkamura ザ・ミュージアム】
「マリー・ローランサンとモード」
会期:2023年2月14日(火)~4月9日(日)
行ってきました渋谷 Bunkamura
※Bunkamuraは一部を除き、4/10から長期休館です。
現在「マリー・ローランサンとモード」展が開催中です。
パステルカラーで女性美を描き続けた、フランスの画家マリー・ローランサン(1883-1956)。生誕140年周年記念の展覧会です。
その他、パリからモダンファションを発信した女性デザイナー達の作品が展示されています。
展示室
※フォトスポット以外は撮影のためチラシ画像から。作品内容は公式HPやチラシなどを参考にしています。
エントランスのフォトスポット↓
セシルビートン 1928年頃
《お気に入りのドレスでポーズをとるローランサン》
↑マリー・ローランサン
パリ生まれ。ピカソやブラックとの交流から、初期はキュビズムの影響色濃い作風でしたが、後に、パステル調の淡い色調が特徴の作風になる。詩人アポリネールとの大恋愛でも知られた。
1920年代パリを象徴する2人の女性、女性的な優美さを求めたローランサンと、女性の服装を画期的に変えたココ・シャネル(1883~1971年)は同じ年に生まれる。
【第1章 狂騒の時代のパリ】
第一次世界大戦と第二次世界大戦に挟まれた1920年代。空前の好景気を背景とした”狂騒の時代”のパリには、世界各国から様々な芸術家や知識人が集まり、その中でカリスマ的な人気を博した人物が、マリー・ローランサン。
優美な女性たちの姿を描いた彼女は、肖像画家として上流階級の夫人たちの心をとらえ、舞台美術や室内装飾の分野でも活躍する。
マリー・ローランサン
左:《ピンクのコートを着たグールゴー男爵夫人の肖像》1923年頃
右:《黒いマンテラをかぶったグールゴー男爵夫人の肖像》1923年頃
↑この2作品は、ローランサンに肖像画の仕事が殺到するきっかけになったもの。
右の作品は、左の作品を気に入った夫人が新たに依頼し出来上がった肖像画。
当時の上流階級の夫人たちの憧れは、ローランサンに肖像画を描いてもらい、シャネルのファッションを身にまとい、写真家マン・レイにポートレートを撮影してもらうことだったといいます。
マリー・ローランサン
《マドモアゼル・シャネルの肖像》1923年
↑ココ・シャネルの肖像画。シャネル本人が気に入らず、ローランサンに描き直しを要求したが応じなかったため、シャネルが受け取らなかったという作品。
【第2章 越境するアート】
ピカソやマン・レイなど国境を越え、ジャンルも越えた新たな総合芸術活動のひとつ、セルゲイ・ディアギレフ率いるロシア・バレエ「バレエ・リュス」。フランスを中心に舞踊や舞台デザイン界に革命が起きる。
ローランサンとシャネルは、この活動に参加し表現の幅と人脈を広げ、ローランサンは1924年初演のバレエ『牝鹿』、バレエ『薔薇』の舞台装置と衣装を担当。
マリー・ローランサン
《牝鹿と二人の女》1923年
1925年にパリで開催された「アール・デコ博」でのパヴィリオン「フランス大使館」では、アール・デコを代表する装飾家アンドレ・グルーが手掛けた「大使夫人の部屋」の室内装飾に、ローランサンの作品が提供され、その見事さが大きな話題を呼ぶ。
ニコル・グルーの夫であるアンドレ・グルーとの家族ぐるみの付き合いが、ローランサンの室内装飾の世界への関心を深めるきっかけとなる。
そして、ニコル・グルーとの関係性もこの交流からなのでしょう
マリー・ローランサン 1935年頃
《鳩と花》(タペストリーの下絵)
マリー・ローランサン
《鳩と女たち(マリー・ローランサンとニコル・グルー)》1919年
↑ニコル・グルーは、ローランサンの同性の恋人と言われている。
↑ローランサンが描く肖像画の顔立ちは似ていますが、「帽子」のデザインやかぶり方、スカーフ、ネックレス、リボンなどで、作品のモデルに個性が現れています。
1929年の世界恐慌はパリにも影響し、ローランサンの肖像画の人気にも陰りが見えはじめ作風も変化する。
淡い色から明るく強い色彩に変わり、はかなげな人物像は、はっきりとした色調と正面を見返す瞳には力があり、女性らしさをいっそう強調するよう描かれるようになった。
この展示室内はフォトスポットエリア
マリー・ローランサン
《ニコル・グルーと二人の娘、ブノワットとマリオン》
↑今回展覧会のポスターにもなっています
ローランサンからインスピレーションを受けたシャネル 2011年の春夏オートクチュール・コレクションからのドレスなどが並んでいました。
1983年から30年以上にわたってシャネルのデザイナーをつとめたカール・ラガーフェルド。ローランサンの色使いにからインスピレーションを得たという美しいドレスも展示。
⇩カール・ラガーフェルド、シャネル
《ピンクとグレーの刺繍が施されたロング・ドレス》
⇩カール・ラガーフェルド、シャネル
《黒いサテンのリボンの付いたピンクのフェイユ・ドレス》
⇩カール・ラガーフェルド、シャネル
《ピンクのツィードのスリーピース・スーツ、刺繍が施された襟元とベルト》
最後に、2011年の春夏オートクチュール・コレクションの映像も流れていました🎥
鑑賞して・・・
ピンクやグレーの淡い色調で暗い無表情な作品という印象が強かったのですが、ローランサンがとても情熱的な女性であることや、装飾やデザイン、舞台などにも関わり広く活躍していたことを初めて知りました。
久しぶりにマリーローランサンの展覧会をみましたが、現在、マリーローランサンの美術館は閉館しており、コレクションも公開していないそうなので、また気軽に見れる場所があってほしいと思います。
様々な帽子をかぶった女性像はとても素敵で、可愛いと思ったハガキも購入。
↑
左:マリーローランサン 1924年
《羽根飾りの帽子の女、あるいはティリア、あるいはタニア》
右:ジョルジュ・バルビエ《パキャンの田園のドレス》 1913年
『ガゼット・デュ・ポン・トン』誌第9号(1913年7月)掲載 島根県立石見美術館
今年はローランサンの展覧会も多いので、比較してみるのも楽しみになりそうです
(2023/2 撮影)
※お知らせ!
「エントランス」と「エピローグ」のみが写真撮影でしたが、3月1日(水)~12日(日)までの開館時間中、撮影可能エリアが追加されています。
(ただし混雑状況で変更になる場合もあるそうです)
公式サイト↓