葛饅頭、銘は「水牡丹」。
ご依頼くださったのは、八女茶園主の中谷一美さん。
シオドメ大学での「極上の玉露」講座でお出しされるということでした。
「涼やかな夏らしいお菓子をお願いします」とのご依頼でしたので、
葛饅頭の「水牡丹」にいたしました。
この 「水牡丹」というお菓子。
紅色に色づけしたこしあんを薄い葛で包んだ、この時期ならではのお菓子です。
昔からあるこの名前。
実際に水牡丹という花は存在せず、抽象的で曖昧なネーミングです。
曖昧であるがゆえ…
響きだけでも、涼やかですし、
水中花?水辺に咲く花かしら?
と、想像力をかきたてます。
和菓子の銘には、そんな抽象的な名前がたくさんあります。
お菓子をいただきながら、想像するのもまた楽しいものです。
言葉遊びが好きな日本人だからこその楽しみですね。
この葛饅頭は、葛と餡のシンプルなお菓子だからこそ、素材が大切になってきます。
吉野本葛を使い、包餡の白こしあんは、北海道産の手亡豆から作っています。
20~30分冷蔵庫でやんわり冷やし、
葛がやわらかく、素材の味を楽しめる温度で召し上がっていただきます。
キンキンに冷えると風情もなくなります。
寂綾-jakuryou-(大岩綾子)