兎谷みちゃめろ(僕のとっておきのモデル)
僕の可愛いカメラ部後輩でとっておきのモデルでもあるみちゃめろ。フリーランスでモデルとアイドルユニットの活動をしている。
今日のワンショット 優希
今日のアニマル カワウ
スナップショット
少し昨日の話の続きになるけれど、撮影の時にカメラマンが笑顔を撮りたくてよく口角を上げるようにと指示することがあるよね。
これは以前に何度か説明をした話で、素敵な笑顔を撮りたければけして口角を上げるようにと指示を出してはいけない。
口角を上げれば頬の筋肉がこわばり、硬い表情になってしまう。
一見笑っているように見えて、目が笑っていないと言われるあの顔だね。それは笑顔とは言わない。
モデルさんのレッスン教室でも講師の先生が口角を上げましょうなんてアドバイスをしているけど、笑顔を作るのは無理して口角を上げることじゃない。
大事なのは笑顔になる気持ちにさせてあげること。
カメラマンなら笑顔を誘う話題でモデルさんの気持ちを楽しくさせたり、面白くなる雰囲気に持っていくことだ。
僕ならモデルさんにペットがいるのか訊ね、いるのならペットの話をする。
モデルさんがペットと一緒にいる時のイメージを想像してもらい、ペットの可愛いところや楽しかった思い出を話してもらう。
すると、自然とモデルさんの表情が柔らかくなっていい笑顔を見せてくれるようになるのだ。
好きな食べ物や音楽、楽しかった思い出のことなど相手を楽しくさせる話題はいくらでもある。
そういう雰囲気の中で、口角を上げなくてもモデルさんは素敵な笑顔になってくれる。わざわざ笑ってなんて言わなくてもいい。
僕はこれまでのポートレート撮影で、口角を上げるような指示は一度もしたことがない。
それには理由があって、30年ぐらい前に観た『バットマン』の映画の中に出てくるジョーカーの口角がものすごく上がって笑い顔なんだけど、でもけして笑顔ではないと思ったのがずっと心の中に残っているからなんだよね。
だから口角を上げても笑ってるように見えるだけで、実は笑っていないという印象が強く残って、誰かを笑顔にさせるにはやはり気持ちがとても大事なんだとわかった。
モデルさんの表情にはクールだとかさみしげだとかせつなさだとか色々とあるけれど、それぞれを導くのはカメラマンがどのような話をしていくかで表れてくる。
意味もなく世間話や無駄話をするカメラマンが多いけど、結局はモデルさんの表情をそれでは引き出せないんだよね。
だから無表情のような写真ばかりを撮ってしまう。
無表情ってもっとも撮りやすいんだよね。まず指示をしなくてもいい。いわゆるモデルさん任せにしておけば、モデルさんも無表情になってしまう。
無駄話しかやらなくて、実際の大事なコミュニケーションをやらないとそういう写真ばかりになる傾向がある。
これまでに何度も言ってきているけど、ポートレート撮影で大事なのは世間話や無駄話ではなく、モデルさんの素敵な表情を導くためのコミュニケーションだ。
ポーズの指示や目線の方向を指示するのがコミュニケーションと思っているカメラマンが多いが、それは単なる形の指示であって、表情を引き出すコミュニケーションではないってことだ。
みちゃめろ 思い出の1枚
新世界 2018年2月10日撮影